正直
言わなきゃ。
ちゃんと言わなきゃ。正直に。
私が悪かったんだよね?
言わなきゃ。「ごめんなさい」って。
「次はもうしません」って。
言わなきゃ、言わなきゃ。
そうしないと怒られちゃう。
怒られるのは怖いから、正直にならなきゃ。
自分に正直にならなきゃ。
悪い子だって、認めなきゃ。
────その子はいつまでたっても。
自分のまちがいに気付かないのでありました。
終わりなき旅
俺はもうすぐ死ぬ。
お前は俺よりもっと長く生きるだろう。
この先の世界を眺めるんだろう。
俺も、これで終わりじゃない。
お前よりも少し高い目線で、世界を見ることになるだけだ。
俺にも、お前にも。
終わりなんてないさ。
このままずっと、旅を続けていようじゃないか。
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自創作 硝煙は笑う より
「ごめんね」
ごめんね、の一言がずっと言えなかった。
言わなきゃいけないのはわかっていたのに。
その一言だけは、何かにつっかかって、言えたことがない。
反省していない、という訳ではなかったと思う。焦って何も言えなくなる、ということもなかった。
……謝りたくなかったのかもしれない。
心の中ではわかっているのに、口に出して言うのを嫌がっていたのかもしれない。
「理想の自分」と「嫌いな自分」を分けていたのかもしれない。
「……ごめんね、理想の私」
逃れられない
何度足掻こうと。
この運命から。
この私から。
逃れることはできないんだよ?
恋物語
俺の恋物語は1ページで始まり、1ページで終わる。
恋をして、そして散っていった。
一目惚れと同時に、もう1つの事実に気付いて。
結末が全てわかってしまった。
本を後ろから読むのと同じことだ。
シナリオ通りになるように、恋路を進まなきゃいけないなんて。
君はわからなくていい。この苦しさなど。
君の物語は全て白紙になるから。
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自創作 赤い祝日 より