唇が重なる瞬間は　いつも

背伸びしても埋まらない
32cmの身長差を
あなたが埋めてくれていた

【届かないのに】

何度も手を伸ばしてしまう

もう一度
振り向いてほしくて

記憶の地図

溜まっていく　いいね　の通知
何度もスワイプする画面のひとつ

指を止めた写真の中に
写り込んだ
あたしと色違いのマグカップ

いいね　を押したのは
ただそれだけの理由

バラバラの部屋にあった
お揃いのそれが
あたしたちを引き合わせて

やっと会えたねって
今は同じ棚の中

取り出して
コーヒーを注げば

上る湯気さえ
笑うみたいに

【マグカップ】

もしも君が
いなくなったら
そんな想像して
不安になって
もしもの君を
責めてみたり

もしも君が
笑ってくれるなら
未来に期待して
ひとりでにやけて
もしもの君に
手を伸ばしたり

もしも
もしも
もしも



現実の君を
もしも に 近づけるのは
いつだって僕



【もしも君が】

僕からこぼれた音が
君の唄になって
世界を彩る



【君だけのメロディ】

僕のデタラメな鼻歌に
君が載せた歌詞は

　そばにいるよ
　大丈夫だよ

いつも　僕を支えている



いつの間にか
どこでも聴けるようになって

君以外の誰もが
口ずさむようになった今

君は　誰のために歌ってる？



画面の中から
向けられた笑顔が

僕だけのものだった頃なんて
もう　忘れてしまったのかな