わさび

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8/16/2024, 9:49:54 AM

お 題:「夜の海」


静かだ。

静寂とはこの事だと言えるほど、静かだ。

こんな日は、内側に舞ってくる“葉”が
ただただ煩わしい。

何か他に声が聞きたくて、外へ出た。


ガラガラガラ


晩夏。
夜の声は、想像より美しい。



リリリリリリ


ビーサンをペタペタ鳴らしながら、


波が呼ぶ方へ、


呼ぶ方へ。




ざざー




ざくざくざく




ざざー




浜に立つ




月が、水平線を照らしている。



「あそこも波が立ってるんだろうか」



ふと出た音は水面に溶け、
素足から伝う砂の感触は、
いつになっても形容できないでいる。

さめてしまった砂の上、
汚れることなど百も承知。
大の字で星をみる。

あたたかい砂の上、
潮の香りが涼しい。
波は、“葉”をのむ。

じんわりと砂が、





砂が?

風が?

波が?

自分が?


その全てが。

次の朝陽も美しく見せてくれることを、

ただただ噛み締めていた。