【相合傘】
自分自身は「相合傘」には縁が無いが、一本の傘を共有する姿は微笑ましく目に映る。恋情か、親愛か。人によってその感情は違うとしても、そこには確かな情がある。もうすぐ長雨の季節が来る。どこかでそんな光景を目にすることもあるかも知れない。
【落下】
漫画やらアニメやらで落下するシーンがスローモーションで描かれているが、現実だと何か考える余裕もなく、いつの間にか階下に這いつくばっている。とりあえずぶつけた体は痛いし、思考は追いつかないしで散々だったことは覚えている。多分そんなものなのだろう、多分。
ところで階段から落ちたことはこれまで数度あるのだが、一番悲しかったのは職場で仕出しの弁当箱を片付けようと運んでいる最中、足を踏み外して持っていたケースごとひっくり返した時だ。外れた蓋からこぼれたキャベツの千切りが床に散らばっているのを視認した瞬間の絶望たるや。今はもう、遠い日の思い出である。
【未来】
未来のことを考えてワクワクする、なんてことは遥か遠い日の話。今は差し迫る問題ばかりが頭に浮かんで、見通しの悪さにげんなりしてしまう。
そういえば、幼稚園の頃に「おおきくなったらケーキやさんになる」と画用紙にケーキの絵を描いたんだっけか。あの絵はどこに行ってしまったのだろう?
【1年前】
1年前、はて。
何もしていなかったわけではないが、特段思い出すこともない。何なら昨日の晩御飯も思い出せない。記憶はかなり、いやものすごく危うい。
日記をつける習慣や、何か大きな出来事でもあれば1年前を振り返ることもできようが――そも一年後の私はこれを書いたことを覚えていられるだろうか。もしかしたらこのアプリから離れて別のことをしているかもしれない。さて、さて。
【好きな本】
思えば自分の好きな本には印象に残る食事シーンがあった。特別なにかご馳走を食べているわけではないのに、やけに心惹かれてしまう。何気ないひとコマ、たった一頁の描写の中に、登場人物の「生」を鮮やかに感じるからかもしれない――
ほらそこ、私が食いしんぼだからとか言わない。