離れ離れ
「話って何?」
「ごめん、俺たち別れよう」
彼に突然そう言われた。
「え、なんで・・・?私別れたくない!」
彼にそう必死に訴えたけど・・・
「ごめんね。嫌いになった訳じゃないんだけど、俺
君からの愛情が湧かなくなったんだ。」と彼に
そう言われた。それを聞いた瞬間、「ああ、本当に
私たちは終わったんだな」とそう感じた。
「・・・わかった。今までありがとう。」
私はそう告げてその場を去った。
そして次の日、彼のお母さんから電話が来た。
「もしもし、どうされましたか?」
「あのね・・・あの子昨日亡くなったの・・・」
「・・・え?」
彼のお母さんから、衝撃なことを言われた。
彼が亡くなったというのだ。
「え?どういうことですか?」
私は信じられなかった。
そこから彼のお母さんの話を聞いたところによると、
彼は病気を患っていたらしい。
それも様態は重く、長くは生きられない。持って半年
だと医者に言われたらしい。
私達が別れ日、その日は入院をする日だった。
入院をしたのは良かったものの、その日の夜に
様態は悪化してしまい、翌日に亡くなってしまった。
「あの子は、亡くなるまであなたの話をしていたわ。とても可愛くて勇敢で自慢の彼女だって」
「そうですか・・・」
別れを切り出したのは、彼なりの私に対する
優しさだったのだ。
「あの子ね、あなたに遺書を書いているから
読んで欲しいわ。」と彼のお母さんに言われた。
「・・・私に?わかりました。」
「今日とか明日は、お通夜とかでバタバタしてるから
渡せないけれど、明後日来てくれるかしら?」
「わかりました・・・」
そして、翌々日
ピンポーン。
私は、彼の家のインターホンを押した。
「いらっしゃい、さあ上がって。」
「お邪魔します・・・」
そして、仏壇に案内された。
その仏壇に、彼の遺影が置いてあった。
信じられなかったけど、本当に亡くなったんだと
実感が沸いた。
「これ、あなたに渡して欲しいって」
そう言われて彼のお母さんが遺書を渡してくれた。
私は彼の書いた遺書を読んだ。
「愛する君へ。 」
「この手紙を読んでいるという事は、
俺はこの世にはいないでしょう。
いきなり別れを告げてしまってごめんね。
ずっと話してなかったんだけど、実は俺病気を
患っているんだ。しかも、結構深刻な状態。
このこと伝えたら君は悲しんでしまうし、自分を犠牲にして俺の事を付きっきりで色々してくれるでしょ?そんなことさせたくなかったので、別れを告げました。俺はあの時、「愛情が湧かなくなった」と言ったけど、本当はそんなこと全くないんだよ。今でも俺は
君のことを愛しています。そして俺のことは忘れて、他の人と幸せになってください。そして最後に
この世界の誰よりも君のことを一番愛しています。
君のことを愛する者より。」
私は読んでるうちに涙かポロポロ出てきた。
彼は最後の最期までは私の事を想って、そして私の
幸せを1番に願ってくれていた。
それがものすごく嬉しくて、涙が出た。
そして、私は一言こういった。
「昔も今も、愛しているのはあなただけだよ。」
私は彼の仏壇に手を合わせ、彼の家を出た。
私たちは離れ離れになってしまったけれど、
「心」で繋がっていると、そう思えた。
fin