7/5/2024, 1:59:46 PM
『星空』
ほんのすこし視線をずらすと、それまで見えなかった弱い光が視界の片隅にぼんやりと浮かぶ。
しんと静まり返った夜の中で、それに焦点を合わせないよう、慎重に視線を戻す。
ぞっとする呼び名をつけられたその星は、遠いむかし兵士の視力検査に使われていたらしい。
ライトイエローの、儚く光る美しい星なのに、いや、儚いからこそ呼ばれたのか――「死兆星」と。
7/5/2024, 5:59:45 AM
『神様だけが知っている』
私が生まれたときのこと
私が喋りだしたときのこと
私が歩き出したときのこと
私が友達を作ったときのこと
私が学校に通ったときのこと
私が恋をしたときのこと
私が結婚したときのこと
私に子供が生まれたときのこと
私に子供が尋ねたときのこと
「ねえ、こどものころにもどりたい?」
その瞬間、
私と子供が入れ替わったときのこと