【そして、】
そして、誰もいなくなった…。
―――とは、なんの言葉だっただろうか?
僕はからは君が、私からはあなたから、
私からは君が、あなたからは私が、
毎日毎日、誰かから誰かがいなくなる。
だけど、それと同時に、
どこかでだれかとだれかが出会ってる。
世界とは不思議なものだ。君を亡くした私も、
いつかはきっと君とは違う誰かに出会うのだろう。
【揺れる羽根】
ひらひらと揺れる片翼の黒い羽根。
鋭い眼光と冷めた表情が美しくて、
あれが欲しい、と心から思った。
「なあ、俺たちのところにこないか?
お前ならいつでも歓迎するぜ」
会うたびに、話すたびに、誘いをかけ、
そのたびに素気なく冷たく断られ、
それでもまだ欲しくなるこの衝動は、
もはや恋なのか、執着なのか――。
ただわかっていることはひとつ、
「彼(あれ)が欲しい」ということだけ…。
【秘密の箱】
その箱を決して開けてはいけないよ。
怖いことも、悲しいことも、何も起こらないけれど。
その箱だけは決して開けてはいけないんだよ。
その箱にはね、遠い昔に儚い恋をした娘の想いが入っているの。恋しさ、切なさ、悲しみ、痛み、苦しみ、すべての感情が閉じ込められていて、開けてしまったらきっと娘は壊れてしまう…。
だから、その秘密の箱を見つけたとしても、決して、決して、開けてはいけないんだ。
それをよくよく覚えていて。
【Friends】
大好きだよ!
そう言い続けて、もう何年?
大好きだよ!
まだまだまだ、言い足りないくらい!
大好きだよ!
【君が紡ぐ歌】
もう聴くことが出来ないあの人の歌。
何度も何度も、聞いて、聞いて、擦り切れるまで。
データだって摩耗するんだよ?
ノイズが入って、音が割れて、音が飛んで。
それでも聞き足りない大好きなあの人の歌。
いつか聴けなくなってしまうのなら、
出会わなければ良かったとさえ思ってしまう。
でもあの人の歌があったからこそ、今の僕はいて、
そして今は僕のために君が代わりに歌を紡ぐ。
……………僕を生かしてくれる、そのために。