【お題】束の間の休息
束の間の休息。
今日から3日間、貴方は僕だけのものになる。
人気者の貴方を独り占めできるのだ。嬉しくないはずがない。
2人きりの旅行。誰にも邪魔されない2人だけの時間。
「旅行に行きませんか?」
先月、そう彼を誘った。
「僕と?」なんていうから
「僕は貴方と2人で旅行に行きたいんです」と答えた。
「なんで僕?」
寧ろ何故、貴方以外だと思うのだろうか。
「恋人と2人きりで旅行に行きたいと思うのは変ですか?」僕が小首をかしげながらそう問うと顔をそらしながら「へ、変じゃあないよ……」と彼は小さく呟いた。
短い黒髪から覗く普段は白い耳が赤く染まっていてそれだけで僕は嬉しくなった。
「では僕と出掛けてくれますか?」改めて彼にそう問いかける。
「……うん。僕も君と2人で出掛けたい」
端的に言うと最高の旅行だ。
【続きます】
【お題】力を込めて
あなたに握られた手が熱い。
俺よりも大きくて温かい大好きな手。
俺が初めて自分の秘密を彼に打ち明けたときすぐに信じてもらえたこと、そして気持ち悪がらず受け入れてくれたことに感極まって俯いた俺の頭を彼はその大きな手で優しく撫でてくれた。
そのとき、涙は嬉しいときにも出るんだって思い出した。
今そんな大好きな手と俺の左手は繋がれている。
俗にいう“恋人繋ぎ”だ。
【続きます】
【お題】過ぎた日を想う
【お題】星座
【お題】踊りませんか?
暖かな明かりがともる談話室。
2人掛けのソファーに並んで座り僕と彼は2人きりなのもあって少し甘ったるい空気を漂わせなが会話に花を咲かせていた。
今、この談話室には僕ら以外に誰もいない。
「踊りませんか?」
突然、彼にそう誘われて驚いた。
「え?君、踊れるの?」
「あー……えっと……」すると彼は狼狽えだした。
普段は涼しい顔をして上品な仕草の彼がオロオロする姿は少し面白い。というか可愛い。
「大丈夫かい?なんで突然『踊りたい』なんて言い出したの?」
「踊りたいじゃありません。『踊りませんか?』です」
そんなに違いがあるのだろうか?
「貴方が……」
「僕が?」
「貴方が楽しそうに社交ダンスの話をするから……」
嗚呼、なるほど。
「やきもち?」
「……そうですよっ!貴方が楽しそうに彼らとの社交ダンスの話をするから……!」
僕が趣味で参加している社交ダンスの活動にいるメンバーは主に彼の友人達だ。だから余計に嫉妬心が沸くのだろう。
「可愛いね」
【続きます】