写真は嫌い
ありのままの私を写すから
加工アプリが好き
理想の私を写すから
例えば私の鼻が、あの子みたいに高くて
例えば私の口が、あの子みたいに可愛くて
例えば私の瞳が、あの子みたいに美しかったら
世界は違って見えたのかな
どうして私の鼻は、あの子みたいに高くなくて
どうして私の口は、あの子みたいに可愛くなくて
どうして私の瞳は、あの子みたいに美しくないの?
どうして私は、あの子じゃないのかな
鏡を見つめて考える
ないものねだりの1日
ふわふわ、ピンク、甘いもの
女の子の好きなもの
シャネルにティファニー、ルイヴィトン
良い女なら、これくらいはね?
舌足らずでバカな話し方なの
でも身体はセクシーで
そういう私が好きでしょう?
貴方達のイメージする私達が、本当の姿だと思ってるの?
残念だけど、違うのよ
愛される為に必要だと感じたから
演じているの
本当はこんな自分
好きじゃないのに
思い出はいつの日も、、、
なんて、昔の歌を思い出した
振り返ってみると
私の思い出の中の天気は晴ればかり
小さい頃、動物園に家族で行った時も
小学校の卒業式も
修学旅行のディズニーも
写真の中の私は、晴天の中笑っている
今日の事だって、時間が過ぎれば思い出になって
澄み渡った空を見るたび
貴方を思い出すのかもしれない
ぽつりと地面に水滴が落ちる
雨だ、、、
そう思って空を見上げても、広がるのは青い空
それなのに私の顔には水滴が落ちてくる
それが落ちてくる水滴ではなく
瞳から流れる涙だと気づく
思い出はいつの日も晴れ
ところにより雨
聖女認定の儀
この国の16歳の少女全員が義務とされるこの儀に挑む私はアリサ
片田舎の小さな教会で聖母像の前に跪き祈りを捧げる
その時光が降り注ぐ現象が起きた時、アリサは自分が特別な存在ー聖女ーであると知った
なんて物語が始まる訳でもない
なんなら聖女認定の儀なんてない世界だし
ここは日本だし
ちょっと夢見がちな少女が退屈しのぎに妄想しただけで続きも存在しない物語
有紗はため息を1つ
ベットから起き上がる
今日は友達と待ち合わせて映画を見る日だが
約束する時はノリノリなのに当日になると面倒になるこの現象は私にだけ起きるのかと疑問に感じながらノロノロと準備を始める
特別な存在に憧れる
ごく普通の少女の1日が始まるのだった
昔の人はどうやって恋愛してたんだろ?
スマホ、ケータイ、ポケベルよりも
もっと昔の時
固定電話で連絡するって
家にいる時のほんの一瞬だけでしょ?
それで絆が深まったのかな?
それで全てが理解出来たのかな?
連絡来る来ないで一喜一憂してたのかな?
ポケベル、ケータイ、スマホって
順番に進化していったのに
私たちはどの時代も同じ事で悩んでる
彼から返事が来ないって悩む気持ち
何十年も前から進化できない私たち
いつの時代でも恋愛は
バカみたいに同じことの繰り返しなんだ