距離 12/2 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
僕にとって、彼女が全てだった。
つまらない学校、つまらない日常、
つまらない知り合い、つまらない新学期。
そんな「つまらない」で埋めつくされたような
僕の人生に、光が差し込まれたのは、
多分 君のおかげだと思う。
小太りで暗くて、話しかけづらい雰囲気の
僕に話しかけてくれて、彼女のユーモアさが
僕の心をこじ開けたのを覚えてる。
僕のオタクな趣味も、
「可愛いじゃん。」で肯定してくれて、
話しかけたらニカッと笑ってくれて、
休み時間も人気者で机の周りにいつも人が
集まるような存在なのに 話に混ぜてくれて。
いつのまにか、学校は僕にとって苦痛ではなく
楽しみだと思えるものに変えられていた。
スクールカーストが低そうだろうと、
見た目がどうだろうと、みんなの心を
こじ開けてしまう彼女の主人公っぷりがクラスでも発揮されて、学校内で1番平和なクラスだって
言い切れるクラスになっていた。
笑ってふざけてたまに怒られて、ケンカして、
転んで、ちょっと泣いて、またふざける。
僕の最後の小学校生活の1年間はそんな、
人生のどんな時間よりも 眩しい時間だった。
そんな キラキラした君に恋するのは
早かった。ずっと1年間目で追ってたし、
話したし、知ろうとしたし、知ったし、知られた。
”親友”って言い張れるくらい仲良くなった。
ずっと彼女のことを見ていた。
だから、彼女が心の奥底から優しいのも
本当は繊細で寂しがりなのも見て取れた。
寂しいから いつも明るく振舞ってるのか。本当は
あんなに明るくなんてしてて疲れてるんじゃ。
そんなことを考えてしまったら、
彼女が ただ 遠い何かに思えてきて、
何故か寂しくなった。
中学校に行って クラスが変わってしまったら
きっと 僕が知らない彼女が増える。
繊細で寂しがりで、優しくて弱くて強い
君が 知らないところ傷つくのを思うと、
なんだか怖くて、前の彼女がいなくなっちゃう
気がして 怖くなった。
君を知れば知る程、不安に思わせられる
ジレンマに、気持ち悪くて淋しかった。
僕はヘタレだから、何も伝えられない。
僕が近くで笑う未来が無くてもいい、
距離が遠くなってもいいから 笑っててねなんて、
多分 思春期が終わっても言えない。
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あとがき
なんか 後味悪い話になっちゃったけど
それなりにまとまったかなと思いました。
この話は 友達と友達のことを好きだった
男の子を元に 書いてみました。
男の子の恋が 報われるといいなあって
思いながら 教室の端っこで見てたよ。