ある人と花見に行って、老夫婦を見た。
「俺もあんな風になりたかったんだよ」
木陰は眩しくて、静かに花が散っていた。
暖かな光の中で2人は笑っていた。
その人が好きだった人と笑ってる姿
喧嘩してる姿を思い浮かべた
そうして、花をみてる姿も
暖かさは残酷だな
多くの共感と励ましを送りたかったのに
「難しいものですね」
私の口から出たのはそんな淡白な言葉だった。
#ひらり
「友達になろうよ」
はじめて声をかけてくれた。
嬉しいのに、カチコチだった。
視界には制限時間が映し出され、
数多の選択肢が浮いては消える。
「うん」でいいのかな
それとも「はい」?
気持ちを表して「もちろん!」なのかな
それで、うなずくときの表情は??
笑ったら変かなぁ
脳内は大暴走なのに、一向に表に出せない。
しまった。
保育園でろくに友達と遊ばなかったからだ。
そのうちに制限時間が来てしまった。
覚悟して俯く。
すると、その子が抱きついてニッコリした。
これが私の初めての友達の記録。
#記録
マスクが裏返し
タグが見えてる
口にナポリタンついてる
そんなのに気づく自分は細かいのだろうか。
教えるのが親切か
言わないのが親切かいつも迷う。
制限時間はその人が他の人と話すまで。
ひそかにタイミングをうかがうのだ。
#そっと伝えたい
人はいつだって繰り返す
今お茶をこぼしたのだって
世界では同時に9人が同じことしてる
悩みごとは大小によるけど
小さなものは市町村レベルで、毎年誰かが経験して解決してる
大きな悩みは違う惑星の人が解決済みだ
だから、ときに「勘」が働く
あなたが失敗をしたときの
「だから言ったのに」と哀れむ声
それは繰り返し続けるがゆえの
私たちの「未来の記憶」なのかもしれない。
#未来の記憶
土の匂いが靴の底からふんわり香った。
眠気は若干気持ち悪く、
真っ暗な寒さがぶるぶると体の芯を吹き上げる。
「せっかくだから」
こんな単純で動かされる。
毎回「なんで来ちゃったんだろ」って思うのにな。
今日も今日とて、のんびりして、
そのときを逃さないように
せかせか歩き出すのだった。
#静かな夜明け