斜陽

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1/24/2024, 3:31:56 PM

 私は斜陽で御座います。


 最近、憎い人間を
 自身の物語の中で殺しました。

 夢の中で人を殺めるのと
 おなじように、作品を作る私は、
 自身が作る物の中に私情を入れこみます。
 あやめて、あやめて、あやめて、
 そうして居るといつしか、境目が
 ぼんやりとしてきてしまって、
 さくひんがよく分からなくなりました。

 いつもどおりアイツをあやめました。
 いつも使っている、赤ボールペンの
 インクが漏れたのでしょうか。
 私の手は、まさしく現代アートのように
 赤く、成り果てていたのでした。


 此方はフィクション作品です。
 みなさまには、あやめたい程に
 憎悪にまみれた物体はありますか?
 どんなに憎くて憎くて堪らずとも、
 げんじつであやめてはならないのです。
 なぜなら、二度と、あやめることが
 できなくなりますから。
 作品で殺すもうひとりの斜陽のように、
 合法的に何度も殺せる方法も探しましょう。

:斜陽のひとこと。

1/24/2024, 8:39:40 AM

 私は斜陽で御座います。


 ああ、ああ、…わたしには父親が
 おりません。
 居るのは小児性愛者でした。
 母と父が離婚する……、わたしが
 小学五年生の頃までずうっと、
 ともに湯船に浸かり、沈んでゆきました。
 そして沈落し、落ちぶれてゆく。
 それは父も、わたしも、同じこと。

 ああ、ああ、…わたしには
 母親がおりません。
 居るのは悍ましく可哀想な肉袋。
 もとは一夜に済ませる予定が、
 父親の羽目で私を妊娠してしまった。
 わたしは一夜のやらかしによって
 生まれた忌み子なのでした。


 此方はフィクション作品。
 処女作早々に、暗く重く、そして
 テーマを無視すると言った
 愚行をしてしまい申し訳ありません。
 わたしの作品とともに、
 わたしと、落ちぶれて下さい。

 :斜陽のひとこと