【イブの夜】
[明日一緒に食事でもどうですか?]
メッセージを何度も消してはまた打ち直しを繰り返している。
何十回目か、やっと勇気を出して送信したものの
私はすぐにスマホの電源を落とした。だって断られるのは分かってるから。あの人には想い人がいるから。
ピロンッ
画面が光る、メッセージのアイコンはあの人。
通知だけ見ればまるであの人から私に連絡してくれたみたいで嬉しくなる。
そんなことは決してあり得ないのに。
だからもう少しだけこの勘違いを楽しませて。
それぐらいはいいでしょう?
【プレゼント】
私が幼い頃から望んでた物はただ一つだけ。
誰か私を、、、そう何度も何度も願ってきた。
今日その願いがようやく叶った。
凍てつく寒さの中で貴方が差し出したそれは
私の心を掴みとる。
貴方がくれた小さな箱に私の何十年分もの願いが詰まっていた。
小さな箱のおかげで気づけたの、貴方が私にとって1番のプレゼントだって事に。
私を愛してくれてありがとう。
【心の灯火】
もし、貴方の心の灯火になれたら
なんて幸せなんでしょう。
けれど、それはきっと叶わない。
私の心の灯火は貴方なのに、貴方は違う。
その事実を突きつけられる度に、私の灯火は小さくなっていく。
いずれ消えてなくなるかもしれないその時までは、この灯火を大切にしたい。
それぐらいなら望んでも罰は当たらないでしょう?
せめてどうか、貴方の心の灯火が消えないように、貴方に幸せが続くように密かに願っているわ。
【開けないLINE】
別れたい。
メッセージで彼にそう伝えた。私はそれを送信したあとすぐにLINEを閉じた。
ピロンッ
[一件のメッセージ]
私はそれが誰からのメッセージかすぐに分かった。けれど、メッセージを見たくない。そんな私とは裏腹に早くメッセージをみろと言いたげに
ピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッピロンッ
とたて続けに鳴る通知音。私はその音が鳴るたび、体が震える。あぁ、またか。また別れられないのか。
もう何度、彼に別れて欲しいと願いを乞うたか。だけど、その願いを受け入れてくれることはなかった。それはきっと、これからも。その事実に絶望する。
アザだらけのからだをまるめ、すすり泣く私の泣き声と鳴り止まない通知音が真っ暗な部屋に、いつまでも響き渡っている。
私の心の表情は一つだけになってしまった。
貴方が私のそばに居ないから。
貴方が生きていた時は、笑った顔も泣いた顔も怒った顔も間近で見れて、私の心の表情は貴方の表情の数だけあったのに。
今の貴方は写真の中で笑っているだけ。だから私の心も笑っているだけ。
泣いてないんだしそれなら、幸せじゃないかって?
いいえ、そんな事ないわ。
貴方の怒った時の顔はどんなだっただろう?
貴方の泣いた時の顔はどんなだっただろう?
貴方の声は?仕草は?
ほら、もう思い出せなくなってる。貴方が笑った時の顔だけなんて、なんてつまらないんでしょう。
私の心に沢山の表情を与えてくれてありがとう。
また貴方に会いたい。
#今日の心模様