たまちゃん。

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5/31/2023, 5:35:22 PM

騙されたと思って、読んでみて…


『パイナップル』 第1話
~今日はいい天気だね~







「今日はいい天気だね!」
どこを見ても青い空の日に
彼女は僕にそう言い、優しく微笑んだ。




ザーザー ザーザーザー

雨が、降っている。
ヤツらは雨の日になると、雨を避けるかのように学校の中に入ってくる。


「ようちゃん!今日の夜ご飯なに~?」
幼馴染の加奈子が、俺の方に向かって駆けてくる。
「今日は、こないだとっておいた
パンの耳かな」
「えーーー…、またそれ?
お腹いっぱいになんないよぉ」
悲しそうに加奈子が言った。
「しょうがないだろ。贅沢言うな
今日は雨だから、出歩くのが危険なんだ。」
俺は少しとげのある言い方をした。
「そっかぁ、、仕方ないね。」
と言いながら加奈子の瞳は少し潤んでいた。
俺は少し可哀想に思い、
「明日は鯖の味噌煮にしようか!」
と言った。
「んえぇぇぇ!!ほんと?やったぁ⸜(* ॑ ॑* )⸝
ご馳走だぁぁあああああ」
加奈子の嬉しそうな声が教室に響く。
「なになに!なんで?
明日なんかの大切な日なのーっ?」
にやにやしながら加奈子が聞いてくる。
「明日はお前の誕生日だろ。
ちゃんと覚えてるよ」
加奈子はもっとにやにやして
「もーっ!ようちゃんは
本当私のこと大好きなんだから!!」
と言いながら、笑っていた。



あいつが突然消えてから、もう1週間が経った。いくら探しても見つからない。
「そういえば、あいつが消えたのも
こんな雨の降っていた日だったな…」

あいつの名前は知らない。
歳も、どこに住んでいるのかも。
あいつと初めて会ったのは、
確か晴れた日だったな。
どこを見ても青い空の日。
太陽の光が沢山さしていて、とても暑い日だった。


俺は加奈子を安全な所において、
学校の外へ助けを探しに行っていた。
「はぁぁ、なんで今日こんな暑いんだよ。」
ポケットの中のスマホを取り出し、
天気予報を見た。
「35度!!??そりゃ暑いわ」
と嘆きながらコンクリートの道を
ひたすら歩いていた。
すると、先に公園が見えた。
「少しあそこで休憩するか」
公園の中に入ると、のこぎりを持った女の子が滑り台の上に立っており、ヤツらに取り囲まれていた。
「な、なんだあれ…
少なくとも30はいるぞ!?」
早く助けないとと思い、すぐにその女の子の方へ駆け寄ろうとした。
すると、、「来るな!!!!」と
その女の子が大きな声で叫んだ。
瞬きする間に滑り台から飛び降りて
ヤツらの首を一瞬にしてはねた。
俺は呆然とそれを眺めていた。
すごいと言うよりも、美しかった……
高い位置で結んだ髪が揺れるのと同時に
ヤツらの血飛沫が舞い、次々に倒れてゆく。
誰にも真似出来ないそのしなやかな動きに
見惚れてしまっていた。
そして彼女の赤く淡い瞳は、
光り輝くルビーのようだった。
ヤツらを全部倒し終え、
彼女は軽い足取りでこっちへ近づいてきた。
「今日はいい天気だね!」
どこを見ても青い空の日に
彼女は僕にそう言い、優しく微笑んだ。