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2/1/2023, 11:41:12 AM

ゆらゆら
ゆらゆら

青空の下に
ゆらゆら

子供たちの笑い声

鳥がさえずり
風は、優しく頬を撫で。

気持ち良い春のいちにち。

ぶらんこ
ゆらゆら。

1/31/2023, 1:57:56 PM

お題「旅路の果て」


7歳から13歳まで両親の仕事の都合で
祖父母の家に父母と離れて暮らした。

母が寂しくないようにと柴犬を飼ってくれた。

白い子犬は、クンクン鳴いて私に甘えてくる。
いつも私と一緒。
私の大事なともだちになった。
私は、11才だった。

小学校から帰ると散歩に連れて行く。
田んぼしかない田舎町、畦が散歩道。

ある時、
誰もすれ違う人などいないから
首輪からリードを外し自由に走らせた。
犬は、大喜び。
私の前を猛ダッシュで畦道のずっと先まで
駆けて行く。
子供の足では、追い掛けられない。

姿が見えなくなると帰って来ないかもと
急に不安になって、泣きたくなった。

すると畦道を私に向かって犬が戻ってきた。

私がちゃんといるか確認しに来たようだった。
私の足にはね上がって嬉しそうにまとわりつく。

すぐ犬を抱きしめリードを着けた。
犬に与えた小さな冒険は、私の不安で
これっきり。
以後、散歩は、決してリードを外さなかった。

犬は、2年後、祖父が散歩に連れて出る直前、
リードが外れ逃げ出し車に轢かれ亡くなった。

犬の心に畦道を自由に駆けた楽しい記憶があったのだ。
きっと車に轢かれなかったら、また嬉しそうに戻ってきたはず。
締め付けられる悲しみに号泣した。

私は、13才。
生まれて初めて、愛しい大事なともだちとの
別れを経験した。

私は、高校受験のこともあり、
犬と別れたその年、両親の元に戻った。

あれから、祖父母、父、妹、
そして先日、母との別れを経験した。

人は、人生の長い長い旅路で
いくつもの別れを迎える。

大人になった私は、犬との別れの時のように
おんおん声をあげて泣くことはない。

鈍い痛みが心の隅で疼くのをたえるだけ。

旅路の終わりは、どんなだろう。

虹の橋をあの犬が駆けつけてくれるだろうか。

1/31/2023, 1:03:59 AM

お題
「あなたに届けたい」

息子へ


お誕生日おめでとう。

2011年3月11日
中学の卒業式で大震災にあい、
命が助かったこと。
あの時、卒業式に出席した親達は、
自分のことより
皆、我が子の無事を願って必死だったと思う。

あの日から
今年も無事に誕生日を迎えられたこと
母は、いつもほっとするのです。

感謝しかないのです。

どんなに時代が変わっても
母が子を思う気持ちは、幸せを願うこと。

だから命を大切に。
たった一度の人生。
自分の思う通りにまっすぐに
悔いなく進んで下さい。

       母より

1/29/2023, 12:22:32 PM

お題
I LOVE


阪神大震災の1ヶ月後、
出雲大社で二人だけの結婚式を挙げた。

お互いの気持ちは、揺るがないけど、
二人とも長男、長女だったため
結婚を家族に反対されて、中々結婚まで
進まなかった。

出雲大社の神主さんと知り合いの友人に、
紹介してあげるから日本一の縁結び神社で
結婚式挙げてきたらと背中を押され
東北の地から飛行機で出雲に入った。

飛行機の中から、瓦礫の中に
点在するブルーシートが見えた。

たくさんの命が失われた大阪の上空を
飛んでいたのだ。

まだ震災の傷跡が生々しい時期に
私達は、二人だけの結婚式を挙げた。

命の重みを感じながら、お互いを思う愛だけを
しっかり心の支えにして。

出雲大社の神主さんから、頂いたことば。

「これから、長い人生の中で色々な困難に出会うこともあるでしょう。
お二人で協力し乗り越えてゆくのですよ。」

本当に大小様々な荒波が何度もやってきた。

泣きたいこともたくさん経験し、そのたび二人で
なんとかしのいだと思う。
けんかもしたし、一緒にたくさん笑った。

東日本大震災も経験した。

神主さんから、頂いた言葉は、いつも支えに
なっていたのかもしれない。

あの時、結婚式でお互い感じた「愛」は、
今も私達の根っこにあると思う。

「愛してる」「アイラブユー」
お互い、一度も口にしたことないけど。

いつもお互いを思いやること。
二人で乗り越えてきたこと。

これが私の、いえ、私達の I LOVE  。



         




1/28/2023, 11:38:38 AM

お題「街へ」


寒波と大雪でここ数日、自宅にこもっていた。
昨日あたりから、日差しが差し込み
路面の雪が溶けたので、図書館に本を返しに街に出かけた。
冬眠中の虫が土の中から這い出すみたいに、
ノロノロと着替え、化粧もどうせマスクだからと
簡略化し、車に乗り込んだ。

最近、ちゃんと生きてないなぁと運転しながら
ふと、思う。
返す本も結局、完読していなかった。
図書館に本を返し、再度、借りることもしなかった。
私は、読書家ではないけど図書館は、好きだ。
四年前に、オープンした真新しい図書館は、
広々として窓が大きくて明るくい。
どこでも読めるようにと、あちらこちらに椅子が配置され居心地が良い。

田舎町の外れに住む私は、
街に買い物に出るとマイ観光スポットと呼んで
必ずこの図書館に立ち寄っていた。

コロナで暫く、閉館を余儀なくされていたが
最近、また出入りできるようになり
嬉しくて、いそいそとまた、通いだした。

私は、人間関係があまり上手じゃないから
人と関わらず、本を手に自由に一人時間を
つぶせる図書館は、ほっとする空間なのだ。

併設されたカフェで一人でワンコインランチも
ささやかな楽しみだ。

春になったら近場の桜の名所巡りしたいなぁなどと考えながら、街の図書館を後にした。

自宅に戻ると我が家の愛猫三匹がエアコンの効いた
暖かいリビングのソファと椅子を占領して
気持ちよさそうに昼寝していた。


あっ、そうか。
椅子をこの三匹にいつも占領されているから、
図書館の「どこでも椅子」が居心地良かったのか。

私の図書館好きは、これだった。
ちょっと苦笑。

でも猫のいる暮らしは、幸せ。
街に出かける時間も幸せ。

そろそろ、日常生活をちゃんとしなくちゃね。


           

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