トポテ

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7/7/2025, 1:37:06 PM

願い事

 家の者が皆寝静まった夜。広いベッドの上、なんだか目が冴えて眠れない。今日の事件が頭から離れない。正確にいうと、離れないのはあの怪人事件ではなくあのヒーローのこと。おでこから角?がはえてて、強く握られた拳からバチバチと電気が溢れてた。怪我してて、スーツもボロボロだったのに躊躇わずに敵に向かっていくあの背中。
「はぁぁーー…」
 枕に顔を埋めて大きくため息を吐く。あのヒーローが現れた後、レスキューに腕を引っ張られてすぐに避難所に連れて行かれてしまった。名前を聞くどころかお礼の一つも言えず、顔もうろ覚えだ。
「かっこよかった…」
 あのヒーローの背中が頭の中に浮かんで消えない。『また会いたい』それが率直な気持ちだった。
 上体を起こし、枕に背を預ける。窓の外を眺めると、天の川がよく見えて、なんだかいつもより星が明るい気がした。そういえば今日は7月7日。七夕だ。毎年短冊を笹に結びつけていたのに、今日はあんなことがあったんだ。笹を用意する暇もなかった。でも…
 ベッドを立ち上がって、机に向かった。そして羽ペンにインクをつけ、短冊の上に立てた。『またあのヒーローに会えますように』そう書き終えると、羽ペンをペン立てに立て直し、紙に穴を開けて、リボンを通した。

12/16/2024, 1:22:46 PM

ピーンポーン。
平日の昼間。家のドアチャイムが鳴った。宅配便を頼んだ記憶はない。上半身を起こすと頭がぐらぐらした。重い足を引きずるように歩き、インターホンの前に立つ。
「…はい」
久しぶりに声を出して、喉のがさつきといつもより半音低い声が気になった。インターホンの画面越しに、仕事着の貴方の顔が見えた。
「元気か?スポドリとゼリーとか買ってきた。ここ置いとくから。気が向いたら食べて。じゃ、お大事に」
そう言い残して、お礼を言う隙もなくさっさと画面外に消えてしまった。
玄関のドアを開けると、すぐそこにコンビニのレジ袋が置いてあった。拾い上げて中を覗くと、スポーツドリンクとみかんのゼリーが入っていた。
仕事着だったし、仕事の合間を縫って来てくれたんだと思う。無意識に口角が上がり、胸が暖かくなる。心なしか先程よりも体が軽い気がした。

【お題:風邪】

10/12/2024, 3:29:26 PM

放課後

8/2/2024, 10:39:48 AM

病室

8/2/2024, 2:49:34 AM

明日、もし晴れたら

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