こんな夢を見た
(再掲)
夢を見たの。
クラックした窓明かりに、残像を持ったシルエット。
きっとここがホイッスルストップの聖堂。
歩く。歩く。
私はここにいるのに私は動いて動かない。
夢を見ているのに、眠る横から物音がする。
ここには誰もいないのにな。
そこには誰がいると、おわれるの?
そんな夢を見たの。
(続編)
スタンダードな7Aがノイズを走らせる。
いつも勝手に光出す青は、まるで。
きっとそこがあの人の座っていた場所なんだ。
きっと。きっと。
夢現のまま現実を生きるのは簡単で。
夢を生きることが難しいんじゃなくて?
誰も生きたことを覚えてないのなら。
それって、「夢を見た」なんて言えないんじゃない?
そんな現実を見たの。
タイムマシーン
「もし、過去に戻れたら」
そんな妄想を毎日してた時期がある
きっとそのときから物を書き始めたんだ
赤い太陽が髪を焦がす坂の上で
病弱な肌とともに朦朧と陽炎が昇って
やけに白い雲に思いを馳せたんだ
本当にタイムマシーンができたなら
きっと戻る日のことをよく覚えていないとダメなんでしょ
そうなると思ってよく覚えてるの
「もしも過去に戻れたら」
絶対に私みたいにならないんだろうけど
素晴らしいほどに幸せなんだろうな
きっとこうした回想を
タイムマシーンって言う人がいるんだろうな
きっとこうした物書くことを
タイムマシーンって言う人がいるんだろうな
きっとそうして誤魔化す人は
私みたいに誤魔化してきた人なんだろうな
雪の静寂
オノマトペすら聞こえない
白も黒すらも見えやしない
注連縄の中のような世界の景色は、きっとそんな感じ
思考の言の葉が揺れても音が鳴らずに
それが不気味で、一周まわって川の音がうるさくて
きっとバクまみれで、でもきっと
眠れない今より心地良い
一面の雪が音を立てるほどの静寂に
きっと耐えきれなくなるほどの、世界なんだろうな
スノー
鋭利な毒が降る
海底都市。サブマリン。
空虚な灰は吐く息に突き刺さる
(孤独。ここでは、孤独。)
埋もれた白から這い出た
青くない白いそら
やけに眩しくて幻で
自分すらもよく見失った
コピーアンドペーストの手元を狂わせ
元の雪景色すらも残らなくて
それでも足跡を残し続ける理由が
あなたにはあって?
消えない灯り
叫べない
アパートだから
2階の角部屋から3番目の、エレベーターより階段の方が近い部屋だから
助けても言えない
助からない
独りだから
友達とか家族とか、そういう話を出せるほどたくさんいなくて、でも不幸せじゃないから
きっと幸せな方だから
叫べない
口を覆うしかない
いっそこのまま消えてしまいたい
潰れた肺をさらに潰して、綺麗な肺を黒かった風に見せたい
そんな風を見たい
それができれば、ようやく私は消えるのだから
消えて他の電球たちを
嘲笑って消えたい