Nijiame

Open App
4/29/2025, 12:03:33 PM

好きになれない、嫌いになれない


空港の、暗くなった空港の隅で

他人のよくできた空似を見た

ほんとによくできた空似だった


多分今はこうしてバリバリ働いてて

多分今はこうしてよく遅くまで勉強してて

多分またさらに上の夢を目指してる


きっとこの感情は「好き」ではないだろうし

きっとこの感情は「嫌い」でもないだろうし

強いて言うのなら憧れで嫉妬で、きっとこの感情は


あの人は空港で何をしてたのかな

あの人は空港で、誰を待ってたのかな

あの人に一言でも話しかけられたら、私は


……だめだなぁ、私。最悪。

4/24/2025, 4:33:45 PM

巡り逢い


たくさんの詩を目の当たりにして

私の所へ来たあなたへ

ごめんなさい

私には上手に詩ぬ才能なんてない

中途半端に評価されて

中途半端に消えていく

人並み以上に努力しているとは言えないから

何も言い返せない。平凡な人間。

だから、平凡なことを書くことにしたの

私にとって平凡で、それでいて精一杯気持ち悪いもの

精一杯詩的で、精一杯詩にものぐるいなもの

一生をかけて、詩ぬんだって

きっと大して評価されない

きっと大して好きにならない

それでもあなたの時間をいただけたのなら

これ以上幸せなことはない

4/14/2025, 9:15:14 AM

ひとひら


綺麗とか、美しいとか、数あれど

可憐なものは、総じてひとひら

一輪の花にもなれやしなくて

一厘の先にもありはしない

(それはそれで可憐だけどね)

何処までも先を行く特急は

触れることの出来ない速度で

自由席の前から5列目

窓際のすぐ右隣に、ひとひら

青春だとか、赤の他人だとか、

そう言うのじゃなくて

唯唯可憐な、一瞬のひとひら

4/9/2025, 12:57:43 PM

元気かな


夜行バスか高速バスかも知らない足で

帰ってみることにしたよ

もう覚えてないだろうけど

エゴの為だけに帰ってみたよ

01Aの窓側の席

目の前には暗闇と灯り

白線は途切れ途切れで

眠くなる

隣にあの人の感触がした

幻肢

窓際に寄りかかるみたいに

あの人に

昔の話

もうなくなった市営バスの話

なくなって、忘れてしまったあの夏の話

いつか語れたらいいなと

いつか聞いてくれたらいいなと

こどもみたいに、わがままに

ただそれだけだったんだ

ただそれだけ…

……

元気でいてくれてるだけで、

それ以外は望みもしないんだ

見知らぬ土地を走るバスは

私の想いごときっと

4/7/2025, 3:14:53 PM

フラワー


帰ったら、扉に花が活けてあったの。

ドアノブに巻き付けるように、添え書きと共に。

「ご卒業おめでとうございます」

綺麗な花、ではあったの。

でも全くお世話になってない人で。

全くお世話したことのない人で。

花言葉を知った恋敵のように、全てが造花に見えて。

綺麗なはずなのに、どこかこの詩みたいにガタガタ。

だから、ペットボトルに活けることにしたの。

真ん中半分チョキチョキして。

添え書きはクリップで止めてあげて。

最後に写真を撮って完成。

添え書きはすぐ捨てちゃった。

もう1枚写真を撮って、嫌いで好きな子に送った。

とっても気持ち悪い。

綺麗なのに、どこもかしこも気持ち悪い。

言の葉すらない花なのにね。

言の葉を持った人なのにね。

Next