ねぇ、覚えてる?
昔ボクが虐められて泣きながら音楽室に逃げ込んだ時にさ、君がピアノを弾いてたよね。泣いている僕を見て、何故か君も泣いていた。
あの時ボクね、すごくびっくりしたんだよ。
誰かのために泣けるなんて……って思った笑
あれからさ、昼休みになると毎日逃げ込むように音楽室に行って、必ず君が居てとても安心したなぁ。
ピアノ、まだ猫踏んじゃったしか弾けないけど君のおかげで少し弾けるようになったのが嬉しいよ。
大人になったらまた会おうねって約束して、今逢いに来たんだよ。
そしたら君、いないじゃないか。
小学校に久々に来たから先生たちは驚いてたよ。でも僕はもっと驚いた。
だって君が来ているか聞いたら「そいつはお前が入学するかなり前に虐められて自殺しているんだぞ。」って。
助けに来てくれたんだって、思わず泣いちゃった。また会えたらさ、一緒に猫踏んじゃったを弾こうよ。
ボクを救ってくれたピアノで、君と一緒に。
麦わら帽子をそっと頭から外して、顔に近づけて見て。
セミの音と共に、夏の匂いが君を包むよ。
おいで、夏の世界に。
上手くいかなくたっていいんだよ
そんなところも含めて君が好きだから。
私は小さい時から花と蝶が好きだ。
どちらもたくさんの種類があって、
とっても可愛い。
ある日ね、蝶が私の巣に引っかかって食べられちゃった。
最初は足掻いて、もがいてたけど
途中からピタリとそれを辞めた。
これが諦めるってことなんだってその時に初めて実感したの。それと同時に命を諦めることの美しさを感じたわ。
私は蜘蛛。今日も眺めの良い屋根の端で花壇を眺めて、蝶を待ってるの。
時間移動が使えたら何に使いますか?
街で急にインタビューされた。テレビだろうか?カメラは無いから雑誌かもしれない。
「うーん…俺だったら好きな人と絶対両思いになれるようにしたいですね。まぁ好きな人いないけど。」
そうですか!!とっても素敵ですね!と彼女は眩しい笑顔で応答した。
それはどこか可愛らしくて、守ってあげたくなるような。そんな笑顔だった。
俺は彼女のことが好きになった。
『実は私、本当に時間移動できるんです!すごいでしょう?』
え、すご。可愛いだけじゃないってことか。最高じゃん…!
『ちなみに私も好きな人と絶対両思いになれるように使ってます!!なんだか私達似てますね!』
共通点があるってこんなに嬉しかったんだな。そう思った。やべぇ…まじ好きだわ。
そう思いながら彼女の方に目をやる。その目は愛らしくて、可愛らしい。でもどこかに執着を感じる。しかしその時の俺はまだ気がついていなかった。