貝殻
この前話してた貝殻ガチャ、企画に上げてみるから、もう少し詰めてパワポに起こしといてよ。
スマホで映すとARで貝殻からいろいろ出てくるヤツですね。
レアは貝殻水着の美女でいいけど、ハズレのアンモナイトもどき…あれ、いる?
ああ、実はカタツムリの殻で、中からワラワラとマイマイカブリが出てくるサプライズじゃないっすか。
クレーム来るからやめとけ。
にいやん、見て、見て。魚いるよ!
みずき!
待って、今行くから!
危ないから、覗き込むな〜。
はしゃぐ妹に急いで追いつくと、手をしっかりつないで抱え込むようにして、二人でそろりと防波堤の下を覗き込む。
テトラポットの合間を魚影が見え隠れする度に身を乗り出して喜び、
あれ、何て魚?ニモ?
何やろなぁ。
よく見ようと、もう少し乗り出したのが良くなかった。
いやな感じと共にスルッと滑り落ち、軽くなるのを感じた。
一瞬の出来事で手を伸ばすこともなく、ただただ呆然と目で追うのが精一杯だった。
あぁ…。
まるで木の葉のようにユラユラと身をよじる度に夏の日射しをきらめき返しながら沈んで逝く。
キレイ!あれ、何?
………にいやんの眼鏡や。
「きらめき」
些細なことでも
人によって
受け取り方によって
激しく燃え上がる
その人のヤル気となり
行動力の糧となり
嫉妬や復讐になることも
心の灯火
こんなに辛い人生がいつまで続くんだろう、って不安になることはないかい?
あんたが心配だよ。心の強さを測ってあげようかい?
ほら、手を握って。
骨ばった手を恐る恐る握ると、もう片方の手を私の胸にゆっくりとかざしてきた。
目をつむって視てごらん。
いや、目を瞑ったら何も見えないでしょ。
口に出さずもツッコミつつ、自分の胸に手をあててみる。
心拍を刻むように揺れ動く心の灯火が視えてきた。
随分か細い炎だねぇ。
フッと一吹き吐息をかけられたと思ったら、急に寒気を感じ、意識が霧散していく。
何で…
スマホ新しいのに代えたらLINE開けないんじゃ。怒
他のアプリは開けるん?
他にもいくつか届かん。
届かんって何?
親指が攣りそうな位がんばっても無理。
知らんがなー!
ちな、ホームをダブルタップか、左右へスワイプしてみ。
ほーん、これ大技林か?