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12/16/2024, 4:11:46 PM

風邪


「あ、風邪ひいた」

咳も鼻水も出ない。喉も痛くない。熱だってない。
何ら変わりないと思われるその体には
小さな違和感があった。
これをどう表現すべきか、わからないほど
微かな違和感。
でも、手に取るようにわかる。

数時間後、喉が痛くなる。
その後に鼻水が止まらなくなる。
明日になると熱が出ている。

…どうだろうか?
答え合わせまで、どうにか抗ってみようか。

12/13/2024, 4:34:54 PM

愛を注いで

ひょんなことから私が一人っ子だと言ったとき
とても驚かれたのを覚えている。

「弟か妹がいるんだと思ってた」
「お姉ちゃんっぽいのに」

「そんなの外面がいいだけだよ〜」

本当は面倒を見られる側の人間なんだ。
あとは、そうだな…性格だよ。
そんな姿を見られたくないだけなんだ。
上手に甘えられないんだ。
ずっと、ずっと隠して。そろそろ限界だ。
でも表現ができない。伝えられない。
どうしたらいい?
両極端で、紙一重の
この感情を、どうすれば

誰か、愛してくれないか

12/11/2024, 12:19:26 PM

何でもないフリ


「ちょっと消しゴム貸してくれない?
 無くしちゃってさー」

「ありがとー
 え?あー、いいよ探さなくても。君は優しいね〜」

もう飽きるほど探したし。
消しゴム1個で落ち込むなんて、
私のキャラじゃないから。

いつも通りを振る舞う。

12/9/2024, 11:56:25 AM

手を繋いで

私の友達はボディタッチが多い。
それはもう"JK"といった感じに。

「おはよ〜!」

元気よく走ってきては抱きついてくる。

「おはよ…朝から元気だね」

緊張してしまう。いまだに慣れない。
女同士とはいえこんな対応をされたことがないのだ、
仕方ない。仕方ない…

「顔赤いよ?あっためてあげる!」

頬を包まれる。

「あったかいでしょ!
 バスの暖房であっためてたんだ〜」

「うん。でも君の手が冷えるよ…」

内の熱が彼女に伝わる前に頬から遠ざける。

「冷たっ、手の方が冷たいじゃん!」

「あっごめ…」

「も〜しょうがない!手、繋いであげる。
 早く教室行こ〜」

「ありがとう…」

軽く手を引っ張られる。暖かい。
でもやっぱり慣れないな。

しばらくは、慣れる気がしない。

12/6/2024, 10:58:57 AM

逆さま


「逆さまだと不安にならない?」

君は鉄棒にぶら下りながら突然そんなことを言う。

「えーっと…どういうこと?」

「なんかさーホラーゲームとかにない?
 ほら、脅かすシーンに」

「そう言われると…ある、のかな?」

「んー世界が逆さまだとさ、不気味というか、
 秩序がないというか…正しくない?みたいな」

「うーん…よくわかんないや」
「逆さまだったら非日常って感じで
 面白そうだけどなぁ」

「ははっ君には悪いけど逆さまなのは
 僕と君の性格だけで十分だよ」

少し呆れたように笑う君と僕は、確かに逆さまだ。

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