手紙を開くと
『20才だね!成人おめでとう!』
2年前に成人してるけど、と社会の変化を憂いつつ
汚い字で書かれたそれを読み進める。
10歳のときに書かされた未来への手紙。
無駄に大きな字から苦労が見える。
︙
『そっちのことも教えてね』
過去の自分には申し訳ないけど、
あんまり成長してないよ。
なんなら退化してるかも。
友達も少ないし、時間の使い方だってヘタクソだ。
それに、、いや、やっぱりやめておこう。
まだ20歳だもん。これからでも間に合う。
なろう、なりたかった自分に。
あの日の温もり
なんてことない日。
昨日の延長線上のような1日。
そんな日に訪れた、特別な一瞬。
君のちょっとした優しさが、
僕を彩った。
永遠の花束
貰ったものはどうしても捨てられない。
これはあの子に貰ったシャーペン。
こっちはあの人から貰った消しゴム。
それに綺麗な花。
正直、花は保存するのが大変。
でもそれ以上に捨てられないって思いが強い。
おかげで部屋がとても華やかになった。
15本の花。
毎年誕生日にプレゼントしてくれた。
花が好きな子で、道端に咲いていた花について
教えてくれたこともあった。
そんな時間が、私はとてつもなく好きだった。
16本目の花は、もう何年も貰えていない。
やさしくしないで
優しさには種類がある。
私が受ける優しさの殆どが気遣いだ。
どう接するか分かりきっていない、
微妙な距離感からくる気遣いである。
関わりづらい雰囲気なのだろうか。
それとも私が一線を引いているのだろうか。
私はあなたと仲良くなりたいのに。
と思いながらも受け身でいるせいか。
本当は、私が、気を使っているのか。
自分に自信がないから?傷つきたくないから?
気遣いを受けたくない、やさしくしないで、
そう思っているのに、思っていたはずなのに。
私は、相手のやさしさに頼っているのか。
まだ知らない君
もっと、もっと、と欲が出てしまう。
君とは友達だけど、知らないことばかりだ。
私が見る限り、君は淡白だ。
いつもさらっとした会話をしている。
自分のことも、私のことにも踏み込まない。
だから私も踏み込まない。
この関係を何かの手違いで終わらせたくない。
私は臆病だから。
でも、やっぱり知りたくて。
新しい君を見たくて。
いつか、いつか、と君を知る機会を窺う
この延長線上で、息を潜めて。