クリスマスの過ごし方
いつも通り出勤して、いつも通り退勤する。
そういえば今日はクリスマスだったか。
冷蔵庫の中にポツンと置いてあった缶を手に取る。
「メリークリスマス」
誰に向けたものでもないその言葉は
静かに消えていった。
風邪
「あ、風邪ひいた」
咳も鼻水も出ない。喉も痛くない。熱だってない。
何ら変わりないと思われるその体には
小さな違和感があった。
これをどう表現すべきか、わからないほど
微かな違和感。
でも、手に取るようにわかる。
数時間後、喉が痛くなる。
その後に鼻水が止まらなくなる。
明日になると熱が出ている。
…どうだろうか?
答え合わせまで、どうにか抗ってみようか。
愛を注いで
ひょんなことから私が一人っ子だと言ったとき
とても驚かれたのを覚えている。
「弟か妹がいるんだと思ってた」
「お姉ちゃんっぽいのに」
「そんなの外面がいいだけだよ〜」
本当は面倒を見られる側の人間なんだ。
あとは、そうだな…性格だよ。
そんな姿を見られたくないだけなんだ。
上手に甘えられないんだ。
ずっと、ずっと隠して。そろそろ限界だ。
でも表現ができない。伝えられない。
どうしたらいい?
両極端で、紙一重の
この感情を、どうすれば
誰か、愛してくれないか
何でもないフリ
「ちょっと消しゴム貸してくれない?
無くしちゃってさー」
「ありがとー
え?あー、いいよ探さなくても。君は優しいね〜」
もう飽きるほど探したし。
消しゴム1個で落ち込むなんて、
私のキャラじゃないから。
いつも通りを振る舞う。
手を繋いで
私の友達はボディタッチが多い。
それはもう"JK"といった感じに。
「おはよ〜!」
元気よく走ってきては抱きついてくる。
「おはよ…朝から元気だね」
緊張してしまう。いまだに慣れない。
女同士とはいえこんな対応をされたことがないのだ、
仕方ない。仕方ない…
「顔赤いよ?あっためてあげる!」
頬を包まれる。
「あったかいでしょ!
バスの暖房であっためてたんだ〜」
「うん。でも君の手が冷えるよ…」
内の熱が彼女に伝わる前に頬から遠ざける。
「冷たっ、手の方が冷たいじゃん!」
「あっごめ…」
「も〜しょうがない!手、繋いであげる。
早く教室行こ〜」
「ありがとう…」
軽く手を引っ張られる。暖かい。
でもやっぱり慣れないな。
しばらくは、慣れる気がしない。