カーテンコールが一番好きだ
あの時だけは自分を思い出せる
深く深く潜った水からぷはっと顔を出すみたいに
ヘロインが切れたみたいに
舞台上にいても、客席にいても
音楽がやんで、人々が手をたたく音が響く

空を映した海
海を映した君
君を映した私
私を映した瞳
瞳を映した空
きらっとひかった

本のしけった匂い
嫌な記憶
虫

文学作品には世界がいっぱいある。読みこなせば感情すべてを味わえる。
だから現実なんていらない。きっと私を読む読者は私が絶望するのを楽しみにしているに違いない。心理描写多めで。
私はいつか死んじゃうけど、読み返せばまた生き返るの。あなたが見てくれないと死んじゃうの。

私の発する最後の言葉は、きっと誰にも聞かせない
だからきっと　さよなら　とか　ありがとう　とか
ありきたりな言葉だったとして記憶されてしまうの
嫌だ。それじゃあ悔いがあるみたいじゃないの。
みんなのこと好いていたみたいじゃないの。
自分のこと愛してたみたいじゃないの。
全部嫌い。
ひとりぼっちはさみしいけどそろそろかもしれない