あなたに会えたのは、ほんの一瞬

わたしが会いたかったのは、あなたの残像

また会えるなんて

またあなたに会えるなんて

あのときの優しい香り

真っ赤に染まったリンゴの頬

手を伸ばしても消えてしまう

あなたは、

あなたに　会いたい

あなたに　会いたい

そんな想いが膨らんで

そんな想いが加速して

わたしは、あなたが好きです

わたしは、あなたが好きです

そんな願いばっか、

そんな言葉ばっか、

伝わるはずないのに

墓の前で一人

朝顔の香り

うつむいた　君の　優しい横顔

長く垂れる　後れ毛

首筋に　あたる　白い光に

ぼくは

ぼくは

何度も何度も恋をして仕舞う

写真のあなたに

ぼくは

ぼくは

何度も何度も愛を伝えて仕舞う

ぼくは、生きるのが辛くなった

ぼくは、生きたくないから死にたくなった

あの日から

生き残ってしまったあの日から

みんなが、たくさん、散華した海に

みんなが、たくさん、出撃した日に

ぼくは、生き残ってしまったんだ

ああ

ああ

人間にならなければよかったのに

蒼いそらに

ぼくの声が　悲痛に　叫ぶ

青いそらに

ぼくの眼が　鋭く　光る

碧いそらに　

ぼくの手に　優しく　温う

ああ、みんな

みんなごめんなあ

ああ、みんな

ぼくだけ　生きてしまって

ごめんなあ