私の最愛の人、わたしの最愛の恋人

あなたが、ぼくの、最期の人でした

このまま水に溺れたらいいのに

このまま海に沈んで仕舞えたら良いのに

海に眠る君の遺骨

海に散った君のからだ

吊るされぶらさげた人形は

真っ黒に焦げて燃えてしまった

燃え尽きてしまったみたい、ね

「この世界は広いね」と

君が優しく言うものだから

わたしは、「ええ、そうね」と頷いて

ちょっとばかりあなたの肩に寄り添ってみたの

そしたらあなた、少し照れくさそうに笑って

わたしの頬に優しく優しくキスをした

長い睫毛を少し伏せて

「君が好きだ」と

寂しそうに呟くものですから

わたしは黙って寄り添って

あなたの頬に優しく優しくキスをした

これが最期の別れでしょう

これが最期の愛なのでしょう

なんて口に出すこともできずに

ぼくは、あなたのもとに帰ってきます

ぼくが、骨になって帰ってきます

ほんとうは、ずっと、君を愛していたかった

あなたのもとに、帰りたかったのに

でも、ぼくは逝きます

必ずや、日本が勝つと信じて、

ぼくは空に飛びます

最後まで愛してくれてありがとうございました

左様なら、さようなら

どうかずっとずっとお元気で


追伸　もし帰ってきたならば、そのときは、ぼくと結婚してください
我儘かもしれませぬが、どうかせめて

あたし、笑ったの　　

苦しいから笑ったの

逃げちゃ駄目だって

何度も何度も言い聞かせたんだ

でも、叶わなかった

あたし、辛くなったの

笑ってばっかりいたからかしら

どんどん居場所がなくなって

だんだん息を潜めるようになって

あの空が恋しいわ

あの空に飛びたいわ

そんなんばっか考えてるの

このまま落ちちゃえば気が楽？

ほんとうに？

ほんとうに？

早まる心臓の音

見下ろした街並み

このまま落っこちれば後は楽？

そうかもね

そうかもね

自分に言い聞かせて

震える手を無理矢理押さえて

わたしは

わたしは、