ジャングルジムが視界に写った。ついこの間までは、誰も遊んでいなかったジャングルジム。古くて、塗装が剥がれている箇所もあったから、人気がなかったのだろう。でも、そんなジャングルジムに、今日は子供たちが集まっていた。小学生くらいの子達が、楽しそうに遊んでいる。近くのベンチに腰を掛けてジャングルジムを観察していると、違和感があった。前まで剥がれ落ちていた黄色い塗装は、綺麗な青に塗り替えられており、太陽の光を反射してツヤツヤと輝いていた。不思議に思い、ベンチをたった。気がつくと、私は子供たちに話しかけていた。
「ねえ、君たち。ここのジャングルジム、何かあったの?」子供たちは不思議そうな顔をしながら、ゆっくり口を開いた。
「お姉さんしらないの、ここね、いろんな大人たちが来て、新しくして行ったんだよ。前まで古くて、遊びたくなかったけど、ピカピカになってみんな遊びに来たんだ」
知らなかった。そんなことがあったなんて。小さく頷きながら、私はベンチに戻った。確かに、前のジャングルジムは塗装も剥がれ落ちて、蜘蛛の巣もあって、不衛生さや古臭さが滲み出ていた。きっと私が子供でも、そのジャングルジムでは遊びたくないだろう。でも、なぜだか、モヤっとした気持ちが込み上げてきた。こうやってみんなは、新しい方ばっかりに目をやってしまうのだろうか。きっと、あの黄色いジャングルジムだって、出来たばかりの頃はたくさん遊ばれていたのだろう。だけど、でも。新しいものもいいけれど、時には、昔のものに触れてみてもいいかもしれない。古い、と表現しがちだが、それがまたいいのかもしれない。古ければ古いほど、たくさん遊ばれてきた証拠なんだ。きっと、今だって、みんなで遊んでいて、大切にしていれば、あんなに汚くならなかったのかもしれない。塗り替えられなかったのかもしれない。複雑な気持ちのまま、私は、公園を後にした。