あなたの存在のおかげで私の人生はきらめいている。
眩しいあなたは私にさえにも影を作る。
だからこそ、あなたの事をあきらめている。
見ているだけで、いい。
おはよう、と言われるだけで、舞い上がる。
よかった。あなたが私を好きでなくて。
何かの間違いで、天変地異で、あなたが私に好きだと言おうもんなら、消えて無くなってしまう。
だから私は今日も、心から幸せだと感じる。
これは、本当だ。
嘘なんか、ひとつもない、はずだ。
「ごめん、まだ答え……言わないで」
私から呼んどいてなんだけれど。
しかも呼んだ理由は君の答えを聞くためなのだ。
だのに、言葉はいわないで。なんて。
自分勝手にも程があるなとは、思う。
正直……会いたくなかった。
このまま答えを聞かずにいたかった。
そうすれば確定するはずの未来は、そうはならないまま、なあなあでふわふわなまま、今が続くのに。
変わることの無い今が続く。
傷つかないまま……。
けれどそうもいかない。
変わらないなんてありえない。
状況は変わらなくても、気持ちは変わる。
積もり積もる、なんとも言えない気持ちが、いてもたってもいられなくなって、どうにかなりそうになる。
何より、君のことを思うと、変わらないのは良くない。
君のことを思うのなら、私は傷つかなければならない。
ただ、その答えを聞く前に。
私たちの関係が、未来が、確定する前に。
あやふやなことに、かこつけて。
「ごめん」
そう言って私は彼に抱きついた。
彼は、びっくりした様子だった。
けれど、解こうとはしなかった。彼は優しいから、ここで解けば私が傷つくと思っているのだ。
そんな事しなくても……。
あと5秒……いや、10秒……。
ぎゅうっと力を込める。
「告白の、答えは……言葉はいらないから……ただ、今だけは抱きしめて」
ずっと好きだ。これからもきっと好きだ。
だから私は傷ついて、あなたの幸せを願う。