「開けないLINE」#22
お風呂上がりに通知が1件鳴った。
彼からのライン。内容をロック画面から見ると
「別れよう」の文字。
咄嗟に口から出たのは「何でなの…?」
私が長風呂なのも彼に可愛いって思われたいから。
私が料理本ばっか買うのも彼にご飯が上手だと思われたいから。こんなに彼のために努力してるのに「何でなの?」その思いから出た言葉。
彼は長時間既読がつかないと送信取り消しをする癖がある。
そのLINEを開いたら、関係が終わってしまうから。だからわたしはそのLINEを開けない。
「不完全の僕」
僕は不完全。
頭はいいけど運動はできない。
でも、あの子も不完全。運動はできるけど頭が悪い。
不完全同士で助け合って、完全体になれたらいいな、なんて。
「突然の君の訪問」#20 お久しぶりです…
突然の君の訪問。
数年前、幼なじみの君は頻繁に家に来ていた。
ゲームをしたり、お菓子を食べたり、もう君もまるで自分の家かのようにくつろいでいた。
正直、君のことが好きだった。
それが、ある日を境に突然来なくなった。家を訪ねても留守。……いや、居留守。
かなり辛かったが、数年経てば整理が着く。
インターホンがなったので出てみると、
君の家族がいた。
まさか、骨になって来るなんて。
「君の奏でる音楽は」
君の奏でる音楽は、幸せの音楽。
猫の君が奏でる音楽は、ゴロゴロ鳴く。
妻の君が奏でる音楽は、ごはんをつくる音と、時々お菓子を食べる音。
息子の君が奏でる音楽は、うろ覚えの戦隊モノのオープニング。
娘の君が奏でる音楽は、色鉛筆で紙に描く音。
次、君はどんな幸せを奏でてくれる?
「最初から決まってた」#18
もし、この人生全て最初から決まってたんだよと言ったら君はどんな顔をするかな。
驚く?悲しむ?それともそんなことあるわけないなんて言って逃げる?
まあ、君がここまで読むのも最初から決まってたんだけどね。