2/2/2026, 1:33:47 PM
妻は62歳で他界した。晩年、彼女は認知症になった。だんだんと、ベランダに飾っていた大好きな花の世話が出来なくなっていった。私は花には興味がなかったから「今はそんな大変なことしなくていいよ」と無神経な事を言ってしまった。妻は悲しそうに「これだけは忘れたくない」と言って時々思い出したようにベランダへ出て水やりをしていた。
私は今、一人ベランダで枯れた花を見つめている。花など興味はなかったが、初めて妻の育てた花の名前が気になって図鑑を買ってきて調べた。枯れていて分かりづらかったがどうやら「勿忘草」という花らしい。花言葉は「私を忘れないで」だそうだ。
私は、妻に忘れて欲しくないと必死だったが、それは彼女が伝えたかった事だったのだ。
それから毎日私は、妻の好きだった勿忘草を育てている。その花を見ると、彼女が笑っている顔を思い出すから。