細い道から始まって
何本も枝分かれした道を通ってきた
時には地に落ちたり
風に飛ばされ
振り出しに戻ることもあった
枯れそうになったり
踏まれて
心、折れたり
そこからまた逆戻りして
枝の先へ先へと進んでった
嬉しいことも
辛いことも
楽しいことも
悲しいこともあった
それでも進んできた
もうすぐ青々茂る葉に辿り着く
もうすぐ輝く花となる……
「──おめでとう」
祝福の声と共に
私はまた
枝分かれした道を歩いていくんだ──
(2023.07.03/この道の先に)
日焼けは嫌い
だから、普段は
日焼け止めもバッチリするし
メイクもバッチリするし
露出を控えて日焼け対策バッチリするし
日傘も──
でもね
貴方と一緒の時だけは
違うんだ
日焼け止めもメイクもバッチリだけど
露出を控えたりしないし
日傘も持たない
私の隣で貴方が
日差しから守ってくれるから
くっついて温もりを感じられるから
貴方が隣にいる時だけは
心地よく感じる暖かな光──
(2023.07.02/日差し)
空が茜色に染まった
窓に映る私の頬も茜色
数時間前までは青空
私の頬には涙が伝っていた
幸せな日々との別れ
感傷に浸り……溺れていた
茜色の空は
涙を枯らし
気持ちも枯らしていく
何も考えなくていい
そんな時間
やがて闇に呑み込まれていく
闇は月明かりで
静かに照らされる
私の心も少しずつ
潤いを取り戻す
まだ未練はあるけれど
少しずつ
少しずつだけど
前に進めそうな
そんな……月明かり──
(2023.07.01/窓越しに見えるのは)
私には天敵がいる
暖かくなると……暑くなると……
夏になると運命のごとく
引き寄せられる二人の如く
今年も運命的に出会ってしまった──
初めは……足への違和感……
見覚えのある赤み……
そしてついに……
姿を──
今年も運命的に出会ってしまった──
奴は私の栄養を奪い取るのに
痩せやしない
痒みと赤みの嫌がらせだけを残していく
嫌だけど、嫌だけれど……
私と蚊は……赤い糸で結ばれている気がする……
今年も来年も……
その先も……
赤い糸によって──
(2023.06.30/赤い糸)
晴れ渡る空に
にゅっと現れた白い雲
私は思わず笑顔になる──
人は皆
“入道雲だ! 気を付けろ!”
と、声を揃えて言う
……私は違う
昔、大好きな人に
サヨナラを告げられた日
涙で頬を濡らし歩いてた
とめどなく溢れる涙は
行き交う人々の注目の的になりそうで
泣くに泣けなかった
そんな時、入道雲がやってきた
私を濡らす雨は
“泣いていいんだよ”
と、言った気がする
私は……一目を気にせず泣くことが出来た
涙ごと私を濡らして……
雷は……
雄叫びのような声を出して泣くことを許してくれた
屋根の下に入る頃には
笑っちゃうくらい
ずぶ濡れで
大きな雷一つ
雨は止んだ
私の心も晴れていた
「今日もフラれたんだよ?……また、泣いていい?」
答えるように雨が振りだした──
(2023.06.29/入道雲)