マグカップ


引き出しの中に

ぎっちりと詰め込まれたマグカップ

1年以上も使ってないのがほとんどだ

だけど一つ一つ手に取ると

当時の思い出が蘇ってくる

どれも真剣に迷って迎え入れたもの

捨てられるわけがない

雨音に包まれて



1人暮らしを始めてから

見もしないテレビをつけっぱなしにするようになった

静かな家にいるとグルグル延々と考え事をしてしまうから


今日はあの子とうまく話せたな

テレビを消して、外に雨の音に耳を澄ませる

どうしてこの世界は



どうしてこの世界から醜いことがなくならないのだろう

それはこの世界が作ったシステムに従うしかないから

誰かが作った誰かのためのシステムに従って生きている

システム化することで善悪の区別がなくなり

細分化することで良心が痛まなくなる


誰かとは誰か

日本という国家なのか、もっと大きいものなのか

彼らのために今日もシステムの一部として働く

君と歩いた道



小学校の帰りに近くの地下鉄駅まで迎えにきてくれた

まだ小さかった僕は

あなたと一緒に歩いて帰るのが楽しみだった

早くあなたと2人で7並べがしたくて急いで歩いた道

思い出すだけで切なくなる

だけどとても大切な思い出

ありがとう、おばあちゃん

水たまりに映る空



せっかくのデートなのに空は曇天

水たまりには灰色の暗い世界

最近君は時間通りに来なくなった

君にとって私はどんな存在なんだろうと不安になる

そんな不安をかき消すかのように

水たまりに君が現れた

晴天になった