「まって」
「まって」の鬼ごっこ
追いかけてるのは 何だろう?
すごく大切なもののような気も
汚くて棄ててもよいゴミの気も
「まって」
「まって」の鬼ごっこ
追いかけてるのは 何だろう?
透明な純粋さは信じられないし
悪意に満ちた優しさもまた同じ
大切な気持ちは熱にうかされて
どろどろに溶けてしまったから
何も理解できていないのに
僕は今日もまた鬼になる
一本 線をひいたなら
あちらの世界は未知の世界
想像力が暴れ狂う場所
まだ誰も知らない 未知の世界
知らないからこそ恐くもあるの
あちらの世界を知りたいならば
一本 線を越えて行けばいい
恐れを受け入れ 馴染ませて
未知を既知へと変えてゆこう
陰からひっそり チラ見
あの人は誰にでも優しい
何も悪いことじゃないのに
ちくちく心が痛むのが嫌だ
わたしの狭い心じゃ
恋愛なんて 大きすぎる
わたしの狭い視野じゃ
あの人の広い世界は 見えない
でもでも でもさ
手放す勇気もないから
ずっと 隠してるつもりだけど
また今日も あの人を想って
ため息ばかり……
緞帳があがり 暗闇に光があたる
舞台上には ぽつんと椅子だけが
観客席からは 姿なき応援者たち
「光輝け」 「光輝け」
無数のこえが 静かに煌めく
おずおずと 主役は舞台上へ
いつもの通りにと かかげる手と笑顔
椅子へと座り くるりと回りだす
独りになって 手が止まりかけては
誰かの声を聞き またくるりと回る
いつかの成功体験を 思い出して
舞台上の主役は 高らかに叫ぶ
「光輝く!」「光輝く!」
わたしの脳内 大体こんなもん
広大な青の中に混じっているから
深い意識の中で手招きしているから
埋もれた記憶をかき分けて
その中に眠る私を見つけて
失われた糸を手繰り寄せて
白い光の中に佇むのは『正解』
その輪郭を撫でてほしい
もう一度振り向いて
もう一度手を握って
ああ この頬を伝う涙が
貴方を救えるなら良かったのに