やあやあ お嬢さん
紅茶の香に誘われたのかい?
スコーンで 恋をしたいなら
スパイスたっぷりの紅茶をどうぞ
おすすめはセイロンで
ついでにお砂糖は如何?
それとも 甘い甘い生クリーム?
一口飲めば心に花が咲くよ
もしもお嬢さんが夢に浸りたいなら
その時はアッサムの紅茶をどうぞ
さあ もう一杯どうぞ お嬢さん
だって紅茶は君の味方なんだもの
ほら こんなに香るでしょう?
だから このティーカップも味方なのさ
逃げないでお嬢さん
もう少しここにどうぞ
だって ここは終わらないお茶会
三月ウサギの用意した庭のお茶会
白うさぎを追うより楽しいお茶会
終わらせることのない気違いのお茶会さ
青をおいかけて おいかけて
おいかけているあいだは
続いていく青い空
いちばん高いところで
そっと横たわっているのが
見えるでしょうか?
寄せてくる青に あたらしい青が
重なるから またおいかけて
おいかけているあいだは
続いていく青い空
いちばん高いところで
そっと笑っているのが
見えるでしょうか?
こうして追いかけていると
ただ追いかけているだけの
むなしさを感じる気がするけれど
あたらしい青に出会う
どきどきもあるのです
わたしの中のしぶとい何かが
ゆっくりとほころんでいくような
かたの荷をおろすような
そんな時期がきたよ
ひとつの線引き
あっちからこっち
ころもを一枚ふやして
あらたな一歩をゆく
「愛」の一文字が
「哀」に成り代わり
愛猫は哀猫と化す
ぼくは一ぴき きみは一ぴき
夜空の星と 同じ数だけ鳴くよ
しゃがれた声になっても鳴くよ
夜空の星と 同じ数を数えて
ぼくはきみは 枯れた声で泣く
ぼくは一ぴき きみは一ぴき
愛猫は哀猫 二ひきの寂しがりや
始まりはいつも 『レ』の音
次に『シ』 最後に『ド』
その音に意味はなく
並びさえもまた同じ
ただの連なりさ
『レ』と『シ』と『ド』
連なりはやがて形を成し
『レ』と『シ』と『ド』
意味のないものに意味を与え
『レ』と『シ』と『ド』
ほら 私が生まれた