おかえりなさいませ
ご主人様 お嬢様
ここは 冥土の喫茶
『ジャハンナム』
「冥土の手作りビーフシチュー」
「冥土の手作りオムライス」
「飲み物各種は冥土産」
一口でも口に含めば
こちら側 冥土のモノ
狂わしいわ 早く欲しいわ
冥土に堕ちてきた
貴方様方の魂 食べたいわ
さあ さあ口に含んでくださいまし
今から その瞬間を思うと
ーーーココロがオドルわ
つい最近まで
蚊帳の外で
のけもので
まだひとりで
呪いを世界自体に
きえろ
ゆるすな
うせろ
そして居場所がまた
空虚になる
「はあ」
とため息が またひとつ
「ああ」
とため息を またひとつ
少なからぬ痛みをともなってさ
かろうじて体勢を立てなおすよ
赤信号から青信号へ
生を渡りきるまでは
「ごめんね」「がんばれ」
からだに力を込めて
「ありがとう」「がんばれ」
ひとりじゃないよ
点と点と続いて
今何度目かのステージを
力増し増しで飛び越える
その日が人生のすべてで
先にも後にも触れないで
青春謳歌 恋愛謳歌
白黒で正論をつきつけて
汚いものには触れないで
人生謳歌 友人謳歌
とても眩しかった過去
錆び付いているね現在
帰れないから
物思いに浸り消化するだけ
空を見上げるあなたの横で
宵の明星を見ただけで
わたしは満足してしまった
雲の影に隠れてしまった
一瞬の幻を惜しむように
じっと動かない あなた
同じ空を見ているはずなのに
わたしには見えていないものが
見えているのでしょう?
それはどんな形ですか?
それはどんな色ですか?
それはあなたにどんな物語を
教えてくれるのですか?
わたしが欲しいと思うものは
あなたの世界では
描けないものばかり
あなたが心揺さぶられるものは
わたしの現実では
言葉にならないものばかり
「同じになれない」と理解はしても
それでも わたしはあなたを
求めてやまないのです