満点の星空の上、2人は出会う。
天の川にかかる赤い橋、それは2人を繋ぐ奇跡の橋。
一年に一回だけ出会うことの出来る2人は、今年も出会う。
「きれいね」
キラキラと光る天の川。
彼は「うん。」と質素な返事を返してくれた。
神様がくれた奇跡の日を私たちは満喫する。
とくに話す訳でも無く橋の上に2人っきり、横に並んで眺める川。
いつも見ている星たちもこの日が一番綺麗だと私は自信を持って言える。
ふと彼の横顔を除くと彼もこちらを見る。どちらからというわけでもなく微笑みがこぼれた。
「あなたの事を愛しています。」
「僕も愛してる。」
年に一度っきりの特別な日、私たちはまた1年後の約束をした。
一年後。
「何もいらない。」人間そんな綺麗には生きられない。
私も欲にまみれた人間の一人だ。
化粧水、ファンデ、リップ、服欲しいものなら沢山ある。
私がもっといい私になるための物。
それは、私のたった一人の大好きな人。隣の席の彼。
その人のためのものだ。
何もいらないなんて言えない、けどあなた以外何もいらない。
何もいらない。
遠くで先生の授業をする声が聞こえる、私は夢の中へ入りかけていた。
外を覗けば桜。綺麗にヒラヒラと落ちていく花びら。道路はすっかり花道になっていた。
「おい、外見てねーでこっち見ろ」先生の声がして慌てて前を向く。
先生に恋をして1年。先生は今日指輪をしていた。
そして散る、恋の桜。
私の心の中にはピンクの花道が出来ていた。
桜散る。
―――今日17時から好きという言葉が禁止されます───
朝のニュースで突然発表された。
「え、好きって言えないってえぐくね!?」教室ではその事でもちきりだった。
「まじ好きだよ愛してるっ♡」友達に最後の好きを伝える人。
「好きです。付き合ってください。」勇気を出し好きを伝える人。
「今日も明日も大好きだよ」いつもの好きを伝える人。
世の中は様々な「好き」で溢れた。
とうとう17時まであと1時間をきった時、今日最後のチャイムが鳴る。
それぞれ家に帰っていく中私は彼を待っていた。
彼と付き合って今日で一年。
まだ彼は私に「好き」と言ったことがない。
それは彼がストレートに言うような性格じゃないし彼からは好きというのが伝わってくるから私は気にしていない。
けどやっぱり言って欲しいなぁ、なんて思ってしまう。
そんな彼との2人きりの帰り道、家に帰るまで「好き」とは言ってくれなかった。
でも、別れ際15時を知らせる市の放送と同時に、、
彼は私にハグをした。
言葉にできない。
小5の夏、母の再婚をきっかけに再婚相手の娘が来た。
あいつとは同い年だけど俺の方が早生まれで、俺は兄になった。
俺には女友達どころか、女子と話すことさえない。
最初はお互い一言も話さなかった。
でも、3年経った今俺たちは毎日ゲームをする仲にまでなった。
あいつは俺の事を「兄ちゃん」と呼ぶ。
俺はどうだろうか、、「あいつ」「お前」名前ですら呼んだことがなかった。
あいつが妹だと思ったこともない。
あいつは、、、
初めての女友達。そして、初めてできた好きなやつ。
今日も俺は「兄ちゃん」のフリをする。
誰よりあいつと一緒にいるのに
誰よりもずっと遠い存在。
あぁ、来世は違う世界線でありますように、そう願った。
誰よりもずっと。