言葉にならないもの

『もうやめようか？』

静かに私は君に言った
君は私に質問をする

『どういうこと？』

君から貰った贈り物は
大切に飾っているよ？

それに形じゃなくて…
心に残っているから

私がやめたかったのは…
君が…

『ううんなんでもない』

こぼれたアイスクリーム

『ごめん遅れたっ…ってあっ…』

手には二つのアイスクリーム
目には二人のいちゃつく様子

私には理解できなかった
何故わざわざアイスを買ってきたのか
買ってきたってより買わせたの方が正しいか…

一人蚊帳の外にいるみたいで
苦しかった

一つこぼれたアイスクリームは
まるで今の私みたいだった

やさしさなんて


『わかった』

今日も断ることのできない私
無理難題を任されたり
勝手に濡れ衣を着させられたりと
災難ばかり

もとからこうすればよかった…

後悔ばかりが駆け上がっていく

いつから誰かの操り人形になっていたっけ？
機嫌取りを任せられる私には

もう

やさしさなんて必要なかった

風を感じて

『ごめんいつか穴埋めさせて』

今日も彼から連絡がくる
二人でのデートなのに

しっかりと準備していたのに
集合時間ギリギリでの連絡だったから

彼の好みのポニーテールに
オレンジ色のアイシャドウ
少し染まったチーク
自信をつけるためのリップも
意味がなかった

待ち合わせ場所で静かに俯いた

風で揺れるポニーテールは
まるで
別れの風を感じてるみたい

夢じゃない

『あれっ』

この景色に既視感があった

担任が話している事も
隣で寝てる人も
全部が同じだ

夢？
おそらく違うだろう

頬を抓ってみた
普通に痛い

現実だ
なのに何故既視感が？

もしかして昨日と同じことをしているとか？

あれこれって夢だっけ？