Rise/ライズ

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3/30/2024, 12:32:01 AM

「ねぇ、本当のシアワセって知ってる? 七不思議から始まる怖い物語なんだって。」

ある日から、こんな噂が流れるようになっていたのだった。
本当のシアワセがなくなってしまえば、当たり前に来ていたはずの朝が来なくなってしまう。
そんな変な噂だったけれど最近おかしいことが起こりつつあって、学校が左右反転したりしている。
学校内で広まっている噂が現実化しようとしていて、その影響で学校の規則が追加されてしまった.....。
その学校の新しい規則は、夜7時以降学校内立ち入り禁止という特殊なものでみんな不思議がっていた。
そんな夜の学校で何が行われているのか知る人は私を含め、ひとりもいなかったのでみんなで規則通りにした。
でも、私の所属している部活が規則通りには動こうとせず、夜の学校を調査しようということになってしまった。
2年生、3年生の先輩はあまり怖がってはおらず、むしろ興味津々といったところだろうか....そんな感じだった。
一番怖がっていたのは、私の一番の友達であり大親友の朱音(あかね)で私も行くから大丈夫だよと落ち着かせた。


その夜に先輩方との約束通り、夜の7時に学校に到着してみんなが学校の正門に待っていた。
2、3年の先輩方、私と朱音を含めて6人で夜の学校に調査をしに行ったが特に普通の学校と変わりなかった。
でも、それで先輩方は『夜の学校を調査してみた!!!』というポスターを作りたいと言うので帰りはしなかった。
先輩方は「幽霊さん!取り憑いてみてください!」と変なことを言い出し「危ないです」と言ったが先輩はやめなかった。
そのことが幽霊の気に障ってしまったのか幽霊というか、オーブみたいな青い光が先輩の中に入っていってしまった......。

「先輩、さっきみたいなことはもう言ってはいけませんよ?というより、大丈夫ですか?」

朱音が言ってみたが、先輩は沈黙を続けていて一切喋ろうとはしなかった。
そのあと幽霊の声なのか分からなかったけれど「幽霊を甘く見た罰、自業自得だ。」という声が聞こえた。
それに、朱音は「先輩は無事ですよね?先輩は大丈夫なんですよね?」と先輩を気遣うかのような言葉を言った。
幽霊はその言葉に向かって「この状況でさえも、自分の心配をせずにこの身体の心配をするのか?」と言っていた。
私は、幽霊のその言葉に「ここで私は死ぬのではないか、明日にはクラスメイトやみんなの顔を見れるか」という心配だけがあった。
その影響で、私はそこから一歩も動くことが出来ずにその場にへたり込んでしまい「次は私の番かもしれない」と覚悟を決めていた。
朱音は「私はここにいる先輩や親友だって守れるし生きてここを脱出できる」と言い、私の前に立ち塞がって両手を広げていた.....。
前にいる幽霊とは違う声が私に聞こえる声で耳元でして恐る恐る振り返ると真後ろには私を上から見下ろして笑っている幽霊がいた.....。
しかし私は、恐怖で声が出ずに見なかったことにしようと音を立てないように最初の幽霊の方を見て目を瞑ったが後ろの幽霊に口を塞がれた。
そして、幽霊は指を口の前で立てて「静かにしてね」と口パクをしていて、そのあと私の口から手を外して目隠しをし「全然気づかないじゃーん」と言った。
その声に、朱音は振り向いて「紫音(しおん)!」と私の名前を呼んだが幽霊に「そこから、動かないで。この子がどうなっちゃってもいいの?」と言われた.....。
そのあと私の後ろの幽霊に「偉いね、幽霊の言うこともちゃんと聞けるなんて。嬉しいなぁ、僕は女の子大好きだから。」と言われたあと何かが切れるような音がした。
それから私は、目隠しから開放されていた。この幽霊たちに人質にされてしまったのか.......でも大親友だった朱音が尊敬していた強い先輩方が私の目の前で殺されている。
でも、私だけはその幽霊たちには殺されなかった。そこで、私は「幽霊さんたちは.....なんでここに?」とひとつだけ質問をしてみた。「幽霊じゃなくて妖怪ね。」と言われた。

「じゃあ、妖怪さんって呼んだほうがいいですか?」と聞いてみると「僕は体育館の遠吠えって七不思議のジュリィでこっちは僕のライバルで夜の灯りって七不思議のランジュだよ。」
ジュリィとランジュは私を殺しもしなければ取って食べたりもしない。他の人には、厳しいのに私にだけは優しい部分があるちょっとした特殊な子たちなのかな......。
「ねぇ、なんでジュリィもランジュも私のことを守ろうとしてくれるの?」と聞いてみた。「懐かしい雰囲気がするんだ、懐かしい思い出が蘇ってくるような感じ。」
懐かしい雰囲気......懐かしい思い出......か。しばらく、家に帰っていない私も家族や友達、先生が懐かしく感じてくるよ。それに、二人といるとなんか落ち着く.....。
「懐かしいって?二人にもそんな過去があるの?」と聞くと、「うん......昔、まだ僕たちが人間の頃に幼馴染で大親友の女の子をなくしたんだ。その子に似てるんだよ。」
「私が?まぁ、なぜか私は前世?の記憶があるんだよね。小さい男の子二人と遊んでいて急に車に引かれて男の子が私の手を握ってずっと一緒だって言ってくれた夢....。」
「幼馴染がなんで車に引かれて、僕たちがその子の手を握ってたの知ってるの?まさか.....君が幼馴染の......ゆずは.....?」と言われていたけどなんか聞こえにくいなぁ。
「(私は........前世の名前........ゆずはだった.......咲花ゆずはで.....男の子の名前は......愁悧(じゅりぃ)と浪茅(らんじゅ)だった.......。あぁ....二人が幼馴染だったんだ.....。)」
でも、なぜか分からないけれど寂しいような.....切ないような......悲しいような.......儚い感じな部分が二人とはあるなぁ。これも、ある一種のハッピーエンドっていうのかな。