皆に幸福を振りまいて
まるで天使かのようなフリをして
自分のことも皆のことも分かってるようなフリをして
本当はもっとずっと弱い
貴方の体を包むその膜に
少しでも触れたら破れてしまいそうなほど
儚くて脆くて
もしかしたら明日にはもう居ないかもって
今度は不安になってきてしまうような
助けてもらってばかりで
助けることができなくて
それほどに貴方は今
大切なものを抱えすぎている
それは一見とても良いようなことに思えるけれど
いつか貴方が壊れてしまうんじゃないかって
ただひたすらに
それが怖い
※テーマ関係なし
無条件に愛を押し付けないで
自分を正義と思わないで
私の気持ち勝手に想像しないで
貴方が好きなのは偶像の私だよ
※テーマ関係なし
あなたはとても優しいけれど
人の悪口なんて言ったことないけれど
そこが好きなところなんだけれど
あなたのその優しさに責任はないということに最近気がついたの
何を言っても受け止めてくれて
どんな失敗をしても許してくれて
あなたのその優しさは必要不可欠な存在になってしまったの
もしかしたらって思ってしまうの
あなたを好きなんじゃなくて
あなたの優しさが好きなんじゃないかって
もっと恐ろしいことを言うとね
あなたの優しさはきっと甘やかしで
私はそれに依存してるの
このままじゃきっと
私怠惰な人間になっちゃうの
それでもあなたはきっと
そんな私も許してしまうよね
もしあなたの私に抱く感情が愛だというのなら
この関係は終わらせたほうがいいと思うの
抜け出してきたよ
孤独の夜から
どうしようもなく君に会いたくて
探してきたんだ
この気持ちの正体
それを今君に伝えたくて
めんどくさいけどいいかな?
素直になれないの、ごめんね
君はまたそうやって
僕の一歩前を歩くんだ
ううん僕が後ろを歩いてるのかな
この気持ちを確信するまでに
随分の時間を要したけれど
まだ盲目になっているかもしれないけれど
今は「わたし」を信じたい
君に会いたい
欲を言えば、彼女のことをもっと知りたかった。
結局僕らは互いのことを何も知らないまま、その関係は解れてしまった。
あの日君が泣いていた理由も、あの日君が怒っていた理由も、もう、なにも、分からない。
そう考えて、はっとする。
僕は、いつの間に彼女のことを考えられるようになっていたのだろう。
彼女のお葬式に行かなかったあの日、もう二度と彼女のことは思い出さないと心の中で誓ったはずなのに。
そのとき、彼女の声が聞こえた気がした。
いや、確かに聞こえた。
「もう!やっと引きずりおわったの?」
翌日、僕は彼女の家を訪れた。
こんな朝早くからは迷惑だろうかと考えていたけれど、彼女のお母さんは笑顔で僕を出迎えてくれた。
「〇〇さんに、会わせてくれませんか」
彼女のお母さんは少し間を置いてから頷くと、玄関からすぐのところにある和室へ案内してくれた。
畳の匂いを感じると同時に、すぐに彼女の写真に視線がいく。
写真フレームの枠いっぱいに、満面の笑みと共にピースサインをしている姿がそこにあった。
「ただいま」
何故か不思議と、笑うことができた。
お線香を焚き終えると、仏壇の上に小さな手帳のようなものがあることに気づいた。
彼女のお母さんに許可をもらい、ページをパラパラとめくる。
どうやら日記のようだ。
日付は不規則で、彼女の三日坊主さがよく分かる。
内容はどれも面白おかしく書かれており、スムーズに読み進めることができた。
しかし最後のページの日付を見て、思わず声が出た。
随分と乱暴に書かれた、〝4月26日〟。
彼女と僕が、喧嘩をした日だ。
そして、彼女の最後の一日。
あとはもう、白紙のページが続くだけだった。
4月26日。
そのページの日記を読む勇気は、まだ僕にはなかった。
後悔という言葉の意味を初めて知った。