春爛漫
この時期は花粉がすごくて外に出たくなくなる。
今までどこかへ出掛けていた虫たちが戻ってくるから嫌になる。
でも白いブラウスにピンクのスカート、少し高めのヒールを履いて桜並木の下に行く。桜の絨毯でクルクル回りながらスカートをなびかせるとなんだかお姫様になったような気がして思わず笑ってしまう。
そして青い空を背景に咲き誇る桜を見上げて言う
「あぁ、春爛漫」
七色
車の中からぼんやり外を見ているとうっすらと虹が見えた。本当に見えるか見えないかぐらい薄い虹だ。
小さいころ虹を描く時は基本的に七色で描いていた。
しかし大人になってから虹を見ると七色ではないことに気づいた。どうして七色ではないのか、そもそも虹が七色という認識が間違っているのではないかなどと考えてはみるものの調べてみる気は起こらない。
まあ不思議でいいか、七は縁起がいいしなどと思いながらゆっくり目を閉じた
記憶
初デート、クリスマス、バレンタイン。
あの時私はずっとこの時間が続けばいいのに。
ずっと記憶に残しておこう。と心の中で密かに思った。
しかしその思いとは裏腹に記憶はほとんど残っていない。
残っているのは別れ話の記憶くらいなものである。
一体いつからあの時を記憶から消そうとし始めたのだろうか、消したくない記憶のままではいられなくなったのだろうか
そして一体いつ全ての記憶が消えてくれるのだろうか
もう二度と
私は今日愛する人と、いや愛していた人とお別れをする。
あなたはまだそれを知らない
知らずに私に愛を囁き、あちらこちらに花弁を散らす
愛おしそうに私を見るこの顔も、私と重なるこの体も二度と見ることはない。今後はあなたのこの姿を私以外の女が見ると思うと、少し惜しい気もする。だから今日だけは「私だけのものになって」と狡いことを言う。
夜が更けてきた。
あなたが寝ている間に私はあなたの女ではなくなる。
あなたの女であるうちに焼き付けておこう、私を愛した男の姿を、もう二度と見ることのないあなたを。
曇り
晴れは好き。晴れ具合によって気分が明るくなるから。
雨は別に嫌いってわけじゃない。たまには濡れたくなる日もある。
でも曇りは嫌いだ。
晴れでも雨でもない状態が中途半端に感じてしまって好きになれない。
でも曇りから太陽がのぞいてきて、天使が降りてきたような光が自分に降り注いだ時私は曇りを好きになる。
先が見えないような中途半端な状態は好きじゃない。
それでもそこから光が見えた時の感動は計り知れない。
経過も含めて結果を楽しむというならば、私は曇りも好きなのかもしれない