#04　雨上がり

寂しかったから、甘えたかったから、たまたまそこにあなたがいたから。
友達じゃないけど、私たち、友達でしょ。

誰かを納得させるために、幾つも用意した言い訳。
本音なんて、私だけが知っていればよかった。

言えないことをずっと抱えて、悩んだ結果、言わないことにしたのは間違いじゃなかったと思う。
勝手に始めた恋は、私がきちんと終わらせるから。

雨上がりだったけど虹は見えなかった。それでも星は見えているから、きっと明日も大丈夫。

#03 ただ君だけ

ただ君だけ、なんてよく言うけれど、嘘でもいいよ。変わらないなんて保証はないし、その部分だけを切り取って信じているわけでもないから、取り敢えず、今だけの恋でも、信じているよ。

熱病にうなされているのだとしたら、それでもいいよ。今だけの恋でも、私も「ただ君だけ」だから。

ねえ、明日も会えるかな？

#02 また会いましょう

また会いましょうなんてきっともう会わないよ。
私もあなたも愛想笑いだけは上手だった。
狡い大人の切り抜け方を知っていただけ。
あともう少し何かを共有して本音を隠しすぎないでいたら、もっと友達になれたかも知れないけれど、それも、もう今さらのたらればでしかない。

でも、私もあなたも狡いから、最後はきっと笑顔で「また会いましょう」って言うんだろうね。

ええ、またいつか会いましょう。

#０１　スリル

誰にもわからないように後ろ手で手を繋いだ。君も私も知らないふりをして、ただ、繋いだ指先で笑って。
楽しかったのは一瞬。繋がれた手が外れてしまえば、もうそこには何も残ってなかった。
そんな一瞬の楽しさに負けて裏切ったのは、あの子でもないし、あの人でもなく、自分の心だった。

もう、あなたとは会わない。