僕は本当におまえを愛しているのだけれど、
おまえが何を考えているのかが分からない。
僕が初めて「好きなんだ」と言うと、
「そうですか」
「私も、です」
と返してくれた。
でもその瞳は、今よりもその先を見ている気がしたんだ。
「手伝うよ。早く終わらせて二人で寝よう」
「寒いのか? 僕の上着着ろよ」
「ずっと、このままでいたい」
恋慕を言葉で伝えても、体で伝えても虚ろなまま。
何を抱えているのか。
何が見えているのか。
もしあの日の「私も」がうそじゃないなら、
一緒に背負わせてくれよ。
それでも、この気持ちをぶつけるのは自己満足でしかないから
僕にできることは変わらず愛をもっておまえに接する事だけ。
私は普段モニターの前ばかりにいるからこそ、外の刺激を受ける時間を作っている。
今日は養父に海が見たいと言って、連れてきてもらった。
スニーカーを脱ぎ、裸足で砂浜を歩いてみる。
砂は、足の裏につくことがなくさらっと落ちていく。
波打ち際へ近づくと、濡れた砂はびったりと足に張りついた。
砂を取り除いては、海に放り込んでリリースする。
一瞬だけ足に押し寄せた波が高くて、ジーンズの裾が濡れた。
裾を捲らなければならない。
しぶしぶ膝頭の下まで捲る。そうしたからには、ひざいっぱいに海を堪能するのが定石。
静かに透明な水面から、足元が海色で見えなくなるところまで来た。
「水温はいかがですか」と問われる。
予想より温いですが外気にさらされるよりはマシですね、と返した。
透明な部分を指ですくって、ぺろりと舐めた。
「……塩辛い」
何かの間違いで甘ければ良かったのに。
この海が塩辛い理由。
砂糖が入っていない理由。
それは海の塩がすべて砂糖になってしまえば、私は人魚として生きていくことを選んでしまうだろうから。
そんな戯言はさておき、塩と水の塊と戯れるのも悪くはなかった。
また来ようと思う。
創作は正気を捨てて取り組むものだとよく聞くが、最近はそれを痛感している。
正気に戻る前。
そう、まさに目が覚めるまでに頭の中に浮かんだものを書き起こすことが大事だと思う。
面白いもの
楽しいものが大好き
面白くないもの
楽しくないことが嫌い
これに尽きる