「なぜ泣くの?と聞かれたから」
私はそっと目を伏して答えるフリをする。
なぜ泣いているのか。
私はその真意を私の母、父から貰っているが、
それは最初から作られた「物語」でしかなく、
私は経験していない。
私は愛する男が死んだから泣いている…らしい
私の身体はちょっとも動かない。
絵の具が固まっちゃったみたい。
私は額の中の華よ。
「足音」
ポツン、ポツン。というのが雨音。
トタン屋根にポツン、ポツンって。
ちょっと寂しい梅雨と夏の季語。
それに混じって、コツンコツン、ポツンポツンってやってくるのがあなたね。
オールシーズンのあなたの足音。
寂しさはそこだけ水が染みたように、安心感で湿っていく。
「終わらない夏」
夏、終わらなきゃいいのに。
カレンダーに32日を書くのが、俺の密かな夏のルールだった。
馬鹿みたいだけど、いつかそれが叶うような気もしてて…。
でも、2025。今年はかかなかった。
夏“休み”が欲しいだけで、
夏が長引いてほしくないのだ。
いつから、パチパチと弾ける線香花火より
背中のベタつきが気になるような気候になったっけな。
「遠くの空へ」
空はずっとずっとずーっと遠い。
私はそれを近くで見るのが夢で、それに向かって走ることを決意した。
走ったり、迷ったり…でも、いつでも空は遠くても私を見守っていた。
でも、どこか私は気づき始めた。
遠くに感じていたけれど、世界を一周したとて距離は変わらないことに。
けれど、絶望はしなかった。
空は私を誰より“近く”で守ってくれたから。
「!じゃ足りない感情」
!←これ、感嘆符って言うらしい。
“感嘆符”って言葉を知ったとき、僕は衝撃を受けた。
そして、エクスクラメーションマークとも言うらしい。
「びっくりまあく」が、エクスクラメーションだ。
思春期の僕には刺激が強かった。
なんか!!!ちょーー!!!かっけぇって!!!!