5/2/2024, 4:25:05 AM
スマホの壁紙を変えて欲しいと言われ、祖母のカメラロールを覗いた。
一面に並ぶ色鮮やかな写真たち。
先週訪れた日光東照宮の陽明門、三猿、猫。
カモメが飛び立つ海辺の公園。
桜吹雪の下を歩くポチの後ろ姿。
そして…
「あぁ、これこれ」
祖母が指差すのはアルバムの一枚目。ぐちゃぐちゃの線で描かれた落書きの写真だった。
「あんたがちっちゃい頃くれた絵だよ。『ばぁばをかいたの!』ってね」
…もう二十年も前の絵だ。
すこし黄ばんでこそいるものの、折り曲がった跡もない綺麗な画用紙……。
祖母はこの一枚を、ずっと大切にとっていてくれたのだ。
「ありがとね、夕子」
祖母はずいぶんとカラフルになった画面を撫でながら、私にそう微笑んだ。
4/30/2024, 1:47:24 PM
楽園とは何だろうか。
見渡す限り緑が生い茂り、そよ風に揺れる草花の上を蝶が舞う…苦痛など何一つない、人も動物も虫も植物も、皆が幸せに過ごせる場所。
まずありえないだろう。
誰かが幸せになるためには、他の誰かが少なからず損をするはずだ。食物連鎖を考えれば当然のことである。
ならばその頂点に立つ“人間”にとっての幸せだけが楽園の定義なのだろうか。
人間は欲が尽きない。楽園は永遠に遠いままだ。