7/12/2021, 10:44:36 AM
私はいつも独りだった。
物理的には誰かいたけれど、そいつの顔は思い出せない。それもそうか、彼は私を理解しない。
私は搾取される存在だった。
才能を期待され、散々扱きあげられた挙句、使えなくなったら今度は最下層へと落とされた。
私は自分を理解されなかった。
この力は、自分の感情が溢れた時に顕現すると聞く。
なら、その私の感情を理解されないということは、
ただ閉じ込めるしかないということだ。
私は早めに死のうと考えた。
正直言って、この世界に自分の存在価値はゼロに等しいものだった。なら、別に居なくても同じことではないか。というか死にたい。
だから私は都を抜け出して、辺境の水源へと足を踏み入れた。