1人夜の砂浜にたっている
ここはどこだ
どうやってきたのかまるで覚えていない
とりあえずあと数時間眠れそうなところで
今夜は良しとしよう
そんなことを考えていたら
何かに足をとられて転んでしまった
いい歳をしているはずなのに
普通に転んでしまって恥ずかしい
誰も見ていないから恥ずかしくても大丈夫だよと
優しく囁くように
波がゆっくりと音を立てていた
春が来て
あなたに恋焦がれて
大好きだけど拗らせて
結局伝えられないままだった
私が志願先変更しなければ同じ高校だったのに
文化祭が1日だけ被ってなかったから
あなたに会いに行ったよ
諦めたつもりだったけど
やっぱりまだあなたが好きです
未練タラタラでもヘタレでも少しバカでも
そんな私を好きになってほしい
でも会う機会があまりないから
どうしたものかと考える
私の横を吹き抜けてった風は夏の匂いがした
放課後の教室
西日が入ってきてストーリーに載せたくなるような
エモい景色がひろがっている
窓の枠に体重をかけてぼんやりと教室を見渡す
数時間前には活気があったこの場所も
この時間は私しか居ない
夕日が差し込む放課後の空気を1人で味わう
後ろから風が入ってきて
若干黄色がかった元は純白であっただろうカーテンが
私を優しく包み込んだ
来週はいよいよバレンタインだから
あの人にどうしてもお菓子を渡したい
まだまだ先のことなのにドキドキしている
教室のドアを開けた瞬間みんなの目がこちらを向いた
嫌な予感がした
あの人を見たらふいと違う所を見た
何があったのか分からなくて固まっていたら
『あんた、好きバレしたんだよ』
と友達が教えてくれた
すきばれ?スキバレ?...あぁ好きバレか...
えっ?嘘でしょ?来週バレンタインなのに?
頑張って準備してきたのに?
その日はぼんやりしながら家に帰った
信じられなかった
まだフラれた訳じゃないのに涙が溢れた
心にはショックという鋭利な刃物が刺さっていて
春の終わりを仄かに告げていた
私は読書が好きだ
特にファンタジーやミステリーが好きだ
本を開けば現実とは違う未知の世界が待っている
ゆっくり足の先からお湯に浸かっていくように
周りの音が何も聞こえない環境に
ズブズブとハマっていく
本の内容もそうだがこの感覚もとても好きだ
ひとつ懸念すべき点としては
周りの音が聞こえなくなるため
本を読み終わった時には高確率で
目の前に怒っている人間がいることだ