今日は高校の合格発表だ
ドキドキしながら家を出る
高校まで心が持たないかもしれない
体内のありとあらゆるものが口から出ていきそうだ
ぐちゃぐちゃな感情を抱えたまま高校の前についた
深呼吸をしながらゆっくりと掲示板の前に行く
自己採点のあの点数は合格点に達していたと思う
恐る恐る前を見る
自分の番号は...
あった
顔のニヤケが止まらない
嬉しい
頑張った甲斐があった
進路のことを真剣に考える経験がなかったからあの時期はとても大変で苦しかった
これからも考えないといけないけれどとりあえずほっとした
満面の笑みで両親に報告する
努力が実った瞬間だった
いつもぶっきらぼうで失礼で嫌なことばかりしてくるあなたのことがとても嫌いだ
だけど根は親切だから色んな人に丁寧に接している
嫌いって言われたし私も嫌いだけど良い一面を見てしまったから好感度が少し上がった
嫌いな奴から好きでもないし嫌いでもない奴になった
私は今日もそんなあなたの横顔を見ている
僕はベランダで夜の空気に包まれていた
向かえ側にあるマンションや隣のビルではまだちらほらと電気がついていた
夜だけど周りの建物の光でベランダは明るかった
1人で住むには広すぎる室内を窓越しに見つめる
去年までは二人暮しだった
君と何度も話し合って決めた家だった
でも君は僕をおいていってしまった
病気だったからどうしようもなかった
君がいなくなってから毎日のように泣いていた
でもそれも今日で終わりだ
明日は君がいなくなった日だから
日付が変わったら僕は君に愛に逝く
早起きしていつもより少し早く登校する朝
昼食中の友達との談笑
昼食後の数学で寝ている隣の席の人
眠気と闘っている友達
それを見て微笑ましい眼差しで目配せし合う近くの席の人たち
委員会や部活で様々な話をする放課後
放課後に友達と寄り道しながら行く塾
1日が終わる頃になって部屋でダラダラする深夜
こんなふとした瞬間にかけがえのない幸せを感じる
今日でこの家で過ごすのは最後なのかと少し寂しい気持ちで家の中を見て回る
自分の部屋にはなんの家具も置かれていない
ふと押し入れを見るとクシャクシャになった1枚の紙切れがあった
それには拙い文字で「またあそぼうね」と書かれていた
遠い昔に友達にもらった手紙だった
「懐かしいな」と呟き写真を撮ってLINEに送る
すぐに既読がついた
これを書いた本人も懐かしいと思ったらしい
私はこれからこの友人と一緒に暮らすのだ
どんなに離れていたとしても縁は切れないのだなぁと思い私は部屋を後にした