いつもぶっきらぼうで失礼で嫌なことばかりしてくるあなたのことがとても嫌いだ
だけど根は親切だから色んな人に丁寧に接している
嫌いって言われたし私も嫌いだけど良い一面を見てしまったから好感度が少し上がった
嫌いな奴から好きでもないし嫌いでもない奴になった
私は今日もそんなあなたの横顔を見ている
僕はベランダで夜の空気に包まれていた
向かえ側にあるマンションや隣のビルではまだちらほらと電気がついていた
夜だけど周りの建物の光でベランダは明るかった
1人で住むには広すぎる室内を窓越しに見つめる
去年までは二人暮しだった
君と何度も話し合って決めた家だった
でも君は僕をおいていってしまった
病気だったからどうしようもなかった
君がいなくなってから毎日のように泣いていた
でもそれも今日で終わりだ
明日は君がいなくなった日だから
日付が変わったら僕は君に愛に逝く
早起きしていつもより少し早く登校する朝
昼食中の友達との談笑
昼食後の数学で寝ている隣の席の人
眠気と闘っている友達
それを見て微笑ましい眼差しで目配せし合う近くの席の人たち
委員会や部活で様々な話をする放課後
放課後に友達と寄り道しながら行く塾
1日が終わる頃になって部屋でダラダラする深夜
こんなふとした瞬間にかけがえのない幸せを感じる
今日でこの家で過ごすのは最後なのかと少し寂しい気持ちで家の中を見て回る
自分の部屋にはなんの家具も置かれていない
ふと押し入れを見るとクシャクシャになった1枚の紙切れがあった
それには拙い文字で「またあそぼうね」と書かれていた
遠い昔に友達にもらった手紙だった
「懐かしいな」と呟き写真を撮ってLINEに送る
すぐに既読がついた
これを書いた本人も懐かしいと思ったらしい
私はこれからこの友人と一緒に暮らすのだ
どんなに離れていたとしても縁は切れないのだなぁと思い私は部屋を後にした
朝起きたら君は部屋からいなくなっていた
他の部屋にいるのかと思って別の部屋も探したけど君はいなかった
どこにいったんだ?出ていってしまったのか?
そんな疑問が浮かび上がる
命令口調で話しかけていたのがダメだったのか?
最近は一緒にいれる時間が短かったからか?
何度考えても分からない
でも僕は君がかけがえのない存在だと思っているし
君は僕と一緒にいてくれたよね?
「ピーちゃん」と数年前にセキセイインコにつけた名前を呟きながら僕は天を仰いだ