本当は何もいらない、と言ったらあなたは怒るだろうか。
あの人は私に、自分の持ってる全てをくれようとしてくれる。
親のようなその人に、それらをいらないと言うときっと｢もっと欲を持て｣なんて怒るのだろう。
でもなぁ、本当に本当に、本当はこの瞬間があるだけで何もいらないんだよ。

辛い時に会いたいと思った。
だから願いを込めて、遠くのあなたに手紙を出す。
あなたと笑い合えた日々が懐かしく、あなたともう一度、笑い合いたいから。
期待と不安が綯い交ぜになったその手紙を、あなたはどう受け取るのか。
少し怖い気持ちを持ちながら、ポスト投函をする。
もう一度、あなたに会えたら――。

いつだって美しいはずの夕日を、あなたに想いを伝えた日だけが特別に真っ赤だったように思える

輝き方がそれぞれ違っても、美しさはみんな平等なんだよ

あの日、先生に言われた言葉が、私をまだ苦しめている。

どれだけ、どれだけ羽ばたいても、私の元に帰ってきて。それだけで、それでいい、から、なんて、嘘つきだね。