私はネガティヴだから、何かするたびに声が聞こえるんだ。
「どうせ上手くいかない」だの「そんなことしたら迷惑がかかるからやめろ」だの。
それは誰でもない声で、本当は誰もそんなこと言っていないのはわかっている。
だけど、そんな微かな声すら気にして、一丁前に落ち込んでしまうんだ。
これもまた、私の良くないところなんだな。
夏休みが終わり、二学期が始まった。
旅行に行ってたのか日に焼けているやつもいれば、夏休みの間に彼女を作って色恋立つクラスメイトたちも増えてきた。
そう考えると僕の夏休みはお盆に田舎帰ったりしたけど平々凡々で少しもったいなかったかな、と少しだけ後悔しながら借りていた本を返しに図書室へと向かった。
本を返し、新しい本を物色する。みんなはラノベとか漫画とか読みたがるけども、僕は少し外れのとこにあるマイナーな本とかを読むのが好きだ。
今日も続きものの本を借りにいきたいのだが……。
「あーあ……」
マイナーたる所以か、僕の目当ての本は本棚のはるか上階へと位置が変わっていた。
夏休みでまた在庫整理をしたのだろう。もう人気作に押されつつ僕の本はいつか置かなくなってしまうのだろう。と残念な顔をしつつ受付の脚立を取りに向かおうとした。
その時。
「あ、脚立使うなら、私の本も取ってくれますか?」
隣で背の小さい女子生徒が話しかけてきた。
夏休みは終わったけど
僕の恋は、秋に始まるのかもしれない。
大事にしたいものは、いつも胸の中にしまってある。
たとえ手放したとしても、心の中にいつだって見守っているのだから。
柔らかな布団の感触が全身に染み入る。
あこの優しさはどこから来るのだろうと考えつつ寝ぼけ眼を擦るが、身体が起き上がらない。
また寝ていたいという私の心がそうさせているのかもしれない。
今日は休んでしまおうか。その考えも頭をよぎる。
ああ、このまま時間が止まったらいいのに、私はそう思った。
満点の星空、ムードのあるライトと上品な音楽。
高層ビルの高級なホテルのレストランでバースデイディナー。
サプライズでケーキをつついているときにふと差し出される指輪。
「結婚してほしい」
「……よろこんで」
そんなベタなプロポーズだけど、多少は憧れる。