コウ

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7/2/2023, 3:49:48 AM

ふと、窓越しに外の景色をぼんやり眺めてみた。
ビルの谷間から人々が慌ただしそうに歩いている。
空は青く澄み渡り、世界は変わらずに動き続けている。
そんな変化のない空を眺めていると、大きなトラックがとおりすがり視界が覆われる。
その瞬間、外は見えなくなり自分の顔が映し出された。
--相変わらず、冴えない顔してんな。
そんな自分を見て、フフッと笑みをこぼした。

7/1/2023, 2:44:11 AM

運命の赤い糸は、たった一人の相手とだけ繋がっている。
そんなロマンチックのような噂話が、皆の中でかしましく広まっている。
ただ私は、それが美しいだとか、ロマンチックには到底見えない。
だって運命とは、ある種の呪いだから。
恋人とか腑抜けたものじゃない。
運命の相手は全てを受け入れ、ともに歩むものだから。

6/30/2023, 3:14:50 AM

遠くの空に見える入道雲
昔、あれに乗りたいなと思ってたことがあったなと思い出した。
あの時見た映画の影響だろうか。
動く大きな雲の中には、きっとワクワクするようなものがあるのだろうと思った。
そんな熱気けぶる夏の日、来るたびに思い出す。

6/29/2023, 3:32:29 AM

遠くから蝉の声が耳を劈く。
風のざわめきとともに湿気を帯びた熱が頬を撫でる。
雨上がりのような土の匂いが仄かに香る。
足元からアスファルトの熱気を靴越しに感じる。
汗を拭い目を開けると、眩しい光が眼前に広がる。


夏が、来る。

6/28/2023, 3:35:16 AM

「行きたいと思う?ここではないどこかへ」
隣で女性は静かに語りかけた。
「どこかって?」
「そこは人里離れた隔世の楽園。世の中の柵から外れて永遠に幸福を享受するの」
女性は言葉を綴りながら笑みを零す。
「もしそんな処があったら、貴方は行きたいと思わない?」
「確かに魅力的だ。でも、そんなんは御伽話だ」
俺は振り返らずに言葉を吐く。
「あら、当然何も根拠無しに言ってるわけではなくてよ。例えば……私が出来ると言ったら、如何する?」
微笑みが不敵な笑みに変わり、女性はそう告げた。
「……どういう意味だよ」
思わず女性の方を見る。女性の姿はすでに見えなくなっていた。
「……何なんだ」

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